ビザ申請に関する記事
在留資格「家族滞在」、通称「家族滞在ビザ」は、就労ビザなどで日本で働く外国人の方の「家族」を母国から呼び寄せ、日本で働く外国人の方が日本に在留する間であれば日本で一緒に暮らすことが可能になるビザです。
ただし、就労ビザでも技能実習や日本語学校の留学生、研修などの一部のビザでは家族滞在ビザの対象外となります。
ここで言う「家族」とは日本で働く外国人の方の扶養を受ける「配偶者」や「子」を指し、ご両親やご兄弟は含みません。ご両親の場合には短期滞在ビザで日本に来てもらった後に「特定活動」ビザに変更申請するのですが、許可の条件は非常に厳しいものになっています。
「配偶者」の方は現在法律上有効に婚姻が継続している必要があります。また、「配偶者」や「子」どちらにしても同居することを前提とし、扶養者に経済的に頼っている状態であることなどが求められます。
「子」には養子や成年に達した者も含まれますが、扶養者の方が子と一緒に暮らしてその世話をし、学校に通わせているような状況であることが必要です。
「子」を日本へ呼ぶ場合、なぜわざわざ今日本に来るのか、高校卒業後に「留学」ビザで日本に来るのはダメなのか、日本に来た場合に学校はどうするのかなどを確認されます。入国管理局は家計のために就労させる目的で日本に呼ぶのではないかという観点で見るからです。一般的に、子どもの年齢が上がっていくにつれて許可の可能性が低くなります。
したがって、18歳以上で高校などを卒業している場合であればなぜ「技術・人文知識・国際業務」のような就労ビザではなくわざわざ「家族滞在」のビザで来日するのか、相当に合理的な理由を入国管理局に説明しないと許可は厳しいものになるでしょう。また、親と子が一緒に日本に来るのではなく、親だけ最初に日本に来ていて、その後数年たってから子供を日本に呼ぶ場合も同様に許可は厳しいものになると考えられます。
呼ぶ側が大学生や大学院生の場合、留学生であっても家族滞在ビザで配偶者や子を呼ぶことが可能なケースがあります。ただし、前述のように日本語学校の留学生の場合には認められません。審査は特に留学生の扶養能力について行われます。明確な基準は公開されていませんが、家族や親族の援助、貯金の残高または奨学金などの総額が1年分の生活費、具体的には200万円以上あるという証明ができれば許可の出る可能性があります。この金額には留学生の方のアルバイトでの給料も計算に入れることができます。援助を受ける場合には、その援助をして下さる方との関係性、援助に至った経緯を説明する必要がある点には注意が必要です。貯金の残高などはお金の流れも重要になります。例えば、申請直前に大金が振り込まれている場合などには詳細な説明が必要です。
このようにして家族滞在ビザで日本に呼んだ「配偶者」「子」は家族滞在のビザだけで就労することはできません。家族滞在ビザは”扶養されることが前提の在留資格”です。就労はその内容に含まれていません。そのため、アルバイトをする場合などは在留資格とは別に「資格外活動許可」を取る必要があります。
ただし、「資格外活動許可」をとってアルバイトをする場合でも就労時間は週28時間までという制限が付き、夜間営業で酒を出す飲食店などの風俗関連営業で働くことはできません。生活費等を稼ぎたいためにこの28時間を超えて就労してしまった場合には、納税証明書や課税証明書等で収入額が多すぎることなどから更新時に発覚することが多く、この場合には更新が不許可になる可能性はかなり高くなります。また、中国人・韓国人パブなどの外国人の方が接客するような店舗にはよく警察や入国管理局が立ち入り調査があるため、この調査の際に摘発される場合もあります。摘発された場合は大抵一発で在留資格取消になります。
なお、「資格外活動許可」には更新という考え方がありません。したがって、家族滞在ビザを更新する場合には再度資格外活動許可を提出し、許可を得る必要があります。しかし、後日資格外活動許可を再度取得する場合だと、許可が途切れてしまう期間ができてしまいます。そこで、実際には家族滞在ビザの更新する際に新しい資格外活動許可を同時に提出することによって許可が途切れてしまう期間を作らないで済むという取り扱いがされています。申請する入管によって対応が異なる可能性もあるので、申請する入管にご確認ください。
前述のように家族滞在ビザは申請者が扶養を受けている前提でのビザです。申請するときに、日本で就労ビザで働く方が単独で扶養することができなければ、申請の要件を満たしません。したがって、配偶者の方や子どものアルバイト収入込みでようやく日本での生活が成り立つような状況では家族滞在ビザは許可されないことになります。
家族滞在ビザを取得するには、家族関係であることを証明した上で継続して扶養する意思があることを示し、日本で一緒に暮らしていけるだけの経済力があることを入国管理局に示す必要があります。そのため、申請の際に必要になるのは次のようになります。
【家族滞在ビザ提出書類(例)】
1.在留資格認定証明書交付申請書(※指定の規格を満たした写真を貼付)
2.次のいずれかで、申請人と扶養者との身分関係を証する文書
(1) 戸籍謄本
(2) 婚姻届受理証明書
(3) 結婚証明書(写し)
(4) 出生届受理証明書(写し)
※中国籍の方は戸籍制度がないため公証書
3.扶養者の在留カード又は旅券の写し
4.扶養者の職業及び収入を証する文書(※基本は(1)(2))
(1)在職証明書又は営業許可書の写し等
(2)住民税の課税証明書及び納税証明書
(3)扶養者名義の預金残高証明書(適宜)
(4)生計に関する説明書および根拠資料(適宜)
同時に複数の方を家族滞在ビザで申請する場合には、重複する書類は省略することができます。
住民税の課税証明書及び納税証明書はお住まいの市区町村の区役所・市役所・役場から発行されます。この証明書は1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載され、その内容を確認できるものが必要です。 入国後間もない場合や転居等により、お住まいの区役所・市役所・役場から発行されない場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署にどのような書類を提出すれば良いかを確認する必要があります。
家族滞在ビザが不交付になるケースとして多いのが、扶養できるだけの安定収入がない場合や、家族関係の証明が不十分である場合などです。また、家族滞在ビザで家族を日本に呼ぶためにどれくらいの収入を必要とするのかは扶養する家族の数(日本に呼ぶ家族の数)や住んでいる地域によって異なり、その地域の生活保護給付額が一つの目安になるともいわれています。
なお、家族滞在ビザの審査期間は、在留資格認定証明書交付申請ならば1ヵ月~3ヵ月、在留資格変更申請や在留資格更新申請ならば2週間~1ヵ月ほどになります。
「短期滞在」ビザから「家族滞在」ビザへの変更はできるのか?
原則として「短期滞在」ビザから他のビザ・在留資格への変更は許可されていません。したがって通常は「短期滞在」ビザで来日していても、いったん帰国していただき、「在留資格認定証明書交付申請」をして日本に呼ぶという手順を取る必要があります。しかし、この在留資格認定証明書交付申請が来日中に許可された場合には例外的に変更申請を行うことができます。ただし、この変更申請は法令で定められているものではなく、慣習上行われているにすぎません。したがって、在留資格認定証明書交付申請の際に入国管理局に事前相談をする必要があると考えます。
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神山行政書士事務所
代表 神山隆義
【略歴】
1978年、栃木県生まれ
中央大学法学部法律学科卒
座右の銘:”信”は力なり
【所属・保有資格】
東京都行政書士会立川支部
東京出入国在留管理局申請取次資格
宅地建物取引士試験 合格
日商簿記 など
| <事務所概要> |
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所属会 | 東京都行政書士会
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