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高齢化に伴う介護需要の高まりにより、介護分野の人材の需要は非常に高まってきています。
そのため、来日する際、介護職の仕事に就きたいとお考えの外国人の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
介護職で求められるビザは主に次のようなものがあります。他に特定活動46号も介護職の活動は可能ですが、稀なケースだと思いますのでここでは省略しています。
【介護職で求められるビザ】
このうち、本ページではこの中の在留資格「介護」について記載しています。在留資格「介護」は、介護福祉士の資格を有する外国人の方が、介護や介護の指導を行う業務に従事するために必要な在留資格です。2017年9月に新設され、介護業界の人手不足を緩和することを目的としています。
在留資格「介護」の取得条件は次の3つです。
【在留資格「介護」の主な取得条件】
① 日本の介護福祉士の国家資格を取得している
② 日本の介護施設との適正な雇用契約を結んでいる
③ 日本人と同等以上の報酬を得ることができる
まず、大前提として「介護」ビザを取得するには”日本の”介護福祉士の資格を取得している必要があります。海外で同様な資格を取得していても条件を満たしません。日本の介護福祉士の国家試験に合格する必要があります。また、就労ビザのため、日本にある介護施設と雇用契約を結んでいる必要があります。この際、雇用契約書の報酬額の金額は、同じ職場で同様の職務内容の日本人の方が支払われている報酬額と同程度か、またはそれ以上であることが求められます。
この中で複雑なのが一見簡単に見える①の”日本の介護福祉士の国家資格を取得している”という条件です。条件自体は単純なのですが、介護福祉士の国家試験は前提となる受験資格が複雑です。そこで次は介護福祉士の国家試験を受けるための受験資格について解説していきます。
介護福祉士国家試験の受験資格を得るためには主に次の4つのルートがあります。
【受験資格を得るためのルート】
介護の仕事には利用者の心身の状況に応じた適切な介護を提供できる能力が求められます。このために介護者には経験に基づいた専門的な知識と技術を持つことが求められます。したがって、、介護福祉士国家試験を受けるためには養成施設などでの実習経験を積んでいることがその受験資格とされています。以下、それぞれのルートについて簡単に見ていきます。
専門学校などの介護福祉士養成施設で既定の年数を終了することで必要な介護福祉士に必要な技能及び知識を習得したと判断され、受験資格を得ることができます。規定の年数は普通科の高校を卒業している方は2年以上、福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設のいずれかを卒業している方は1年以上です。未経験の方が介護福祉士国家試験の受験資格を得るにはこのル-トが最短のルートになります。
以前は養成施設を卒業した場合、国家試験を受けることなく介護福祉士になることができました。しかし、2022年度の卒業生の方から養成施設を卒業した場合でも介護福祉士資格取得に国家試験の合格が必要になりました。この経過措置として、2026年を令和8年度末までに卒業する方は、卒業後5年の間、国家試験を受験しなくても介護福祉士になることができます。国家試験を受験し、合格していない場合も同様です。ただし、卒業から5年経過後にも介護福祉士の登録を継続するためには、この卒業後の5年間介護等の業務に従事しているか、または国家試験に合格することが必要になります。
介護の現場で3年以上働くことで介護福祉士国家試験の受験資格を得る方法です。技能実習や特定技能の在留資格で実務経験を積んだ方などが対象になります。
この場合、単に実務経験が3年以上あるだけでは受験資格を満たしません。2016年度より、この実務経験のほかに養成施設等における「実務者研修」の修了が必要になりました。
また、ここでいう”介護の現場で3年以上働く”とは従業員期間が3年(1,095日以上)であり、実際に業務に従事した日数が540日以上あることが必要です。この日数は試験実施年度の3月31日まで通算することができます。
文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した福祉系高等学校を卒業することで介護福祉士国家試験の受験資格を得る方法です。特例高等学校に指定されている学校を卒業した方の場合、卒業後9カ月以上の介護等の実務経験も求められます。
2024年よりこのルートで受験資格を得た方も、他のルートと同様に実技試験が廃止され、筆記試験のみを行うこととなりました。この点、専攻科を含む特例高等学校に指定されている学校を卒業した方は、上記実務経験のほかに、介護福祉士資格の登録を申請するまでに実務者研修のカリキュラムの1つである「介護過程Ⅲ」を受講し、登録申請時に修了証明書を提出する必要があります。
EPA(Economic Partnership Agreement)とは、2以上の国や地域が締結する経済連携協定です。インドネシア、フィリピン、ベトナムの方はこの協定に基づき、公益社団法人国際厚生事業団が紹介した受入機関で、研修責任者の監督の下研修を受けながら介護福祉士国家試験の取得を目指すことができます。
このルートで受験資格を得た方も、2024年より他のルートと同様に実技試験が廃止され、筆記試験のみを行うこととなりました。それに伴い、EPA介護福祉士候補者で2024年5月以前入国者の方も、介護福祉士資格の登録を申請するまでに実務者研修のカリキュラムの1つである「介護過程Ⅲ」を受講し、登録申請時に修了証明書を提出することが求められるようになりました。
在留資格「介護」を取得条件を満たした方がビザを申請する際に必要になる書類は主に次のようなものになります。
【在留資格「介護」の主な提出書類】
申請する方が現在外国に在住している場合には「在留資格認定書交付申請」、既に来日し、何かしらのビザをお持ちの場合には「在留資格変更許可申請」になります。既にお持ちの在留資格をそのままで在留期限の延長のみであれば「在留資格更新許可申請」です。「在留資格取得許可申請」は日本で生まれた赤ちゃんなどに用いられる特殊な申請です。申請ごとにそれぞれ申請書の様式が異なります。
派遣の場合、就労ビザではその適法性を派遣先をもとに判断します。そのため、派遣の場合には派遣先の業務内容が分かる資料が必要です。この資料としては労働条件通知書等が考えられます。雇用契約書から派遣先の業務内容が分かるようであればこの書面の提出は不要になりますが、後から追加資料として求められると審査期間が2~3週間程伸びてしまします。そのため、当事務所では派遣の方の場合には最初の申請時点で労働条件通知書もあわせて提出しています。なお、労働条件通知書は労働者の方に渡すことが必須とされてはいません。そのため、発行されいない場合には勤務先に発行してもらう必要があります。
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