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現在、日本では高齢化が進行しており、介護が必要となる方は年々増加しています。このため、介護サービスの需要は年々高まることが予想されます。
しかしながら介護業界は深刻な人手不足に直面しており、多くの介護事業所が職員不足を感じているのが実情です。
この点、募集する対象を日本人だけでなく外国人の方まで対象を広げ、不足する人材を確保しようとする考え方もあり得ます。ところが、外国人の方が日本で就労する場合にはその職務内容に見合った在留資格、通称ビザが必要です。そこで本ペ-ジでは厚生労働省Webサイトを参考にしつつ、介護職で外国人の方を雇用する際にはどのようなビザが必要になるのかについて記載していきます。
外国人の方が介護職として働くためには主に次のようなビザが必要になります。特定活動46号でも可能ですが、非常に稀なケースだと思いますので本ペ-ジでは省略しています。
【介護職で求められるビザ】
以下、それぞれの在留資格について簡単に見ていきます。
介護福祉士の方が、日本の会社と雇用契約を結び介護やその指導を行う際に取得する在留資格です。試験に合格し、介護福祉士であることが前提です。要介護者の方とのコミュニケーションが重要になるため、高い日本語能力、具体的には日本語能力検定N2以上が求められます。日本語能力検定N2は新聞記事などを理解でき、日本語を母語とする方にとって自然な速さの会話でも日本語を理解できるくらいの日本語力になります。
「介護」ビザを取得する方には主に2つのパタ-ンがあります。1つ目は外国人留学生として日本の介護福祉士養成施設で2年以上学んだ後に介護福祉士国家試験を受け、合格する場合です。2つ目は技能実習や特定技能の在留資格で3年以上介護に関する実務経験を積み、介護福祉士試験に合格する場合です。技能実習の場合、実習を良好に終了している必要があります。実習期間中の変更はできません。
「介護」のビザでは、訪問介護や夜勤業務など、幅広い介護サービスに従事することが可能です。特に訪問介護を行うことができるのは「介護」ビザと身分系の在留資格のみです。後述の技能実習のような在留期間の制限もないため、長期間勤務してもらうことができます。
外国人の方を介護職として雇用する場合に理想的なビザでですが、外国人側の取得の条件が非常に厳しくなっています。ビザ取得に必要な介護福祉士国家試験を受験するために養成施設の卒業や数年単位の実務経験が求められるため、条件を満たしている方の人数はそれほど多くはありません。介護福祉士養成施設に入学する際に入学の条件として前述の日本語能力試験のN2以上が目安とされていることもハードルが高くなる原因となっています。日本に留学しながら日本語を学ぶという手段が使えないからです。
特定技能は、人材不足が深刻な特定の産業分野で、一定の専門性や技能を有する外国人の方を日本に受け入れるための在留資格です。この”特定の産業分”の中に介護分野が含まれています。
介護分野で特定技能ビザを取得するには、次のいずれかの方法で”一定の専門性や技能”を有すること、日本で実際に働くことが可能なレベルの日本語能力があることを証明することが必要です。
【介護分野で特定技能を取得する条件(外国人側)※どれか1つ】
介護分野で特定技能の場合、訪問系サービス以外であれば就労可能です。訪問系サービスは利用者との日本語でのコミュニケーションに不安がある等の理由から認められていません。単独での夜勤や服薬介助については行うことができます。
介護分野で特定技能では最長5年間、介護施設で働くことができます。5年が経過した場合、同様に日本で介護職として勤務し続けるには在留資格「介護」へ移行するなど、他の在留資格へ変更しなければなりません。
既にこのビザを取得している外国人の方は、一定の日本語レベルと基本的な介護の技能レベルを有していると言えます。転職などでこのビザの方が応募してきた際には即戦力として採用することができるでしょう。
このようなメリットがある反面、特定技能ビザでは雇用する会社側に一定の条件が課されます。その最も重いものが”外国人の支援体制”です。この条件は一般的な会社がクリアすることが難しいため、通常は外部の「登録支援機関」に業務を委託します。この際、採用時に30万~40万円かかるだけでなく毎月2~4万円のランニングコストがかかります。ちなみにこれは国内にいる外国人の方の場合で、国外から外国人の方を呼ぶ場合には、外国の送り出し機関への手数料や入国時渡航費用など、さらに高額の費用がかかってしまいます。
したがって、一般的な会社が外国人の方を介護分野での特定技能で雇用しようとする場合には国内から募集するのが通常です。それでも外国人の方への給与報酬以外にコストがかかってしまう問題があります。このため、一旦特定技能の外国人の方を雇用して在職中に介護福祉士国家試験に合格してもらい、在留資格「介護」に変更してもらうプランが現実的かと思います。
技能実習制度は、開発途上国などの外国人を日本で受け入れて、日本の技術や知識を移転させることを目的とした国際貢献のための制度です。技能実習ビザで入国した外国人の方は、日本語教育や講習を受けた後に実習実施者と雇用契約を結び、OJTを通じて技能を修得します。OJT、オンザジョブトレーニングとは、新入社員や未経験の社員に対して、上司や先輩が実際の業務を通じて指導する教育方法をさします。「技能実習1号」「技能実習2号」で在留し、2号終了後は「特定技能」(介護)への変更も可能です。
ただし、この制度は近い将来廃止され、新しい「育成就労」に移行する予定です。おそらくは2027年ごろになると思われます。過渡期の措置など不透明な部分も多いため、これから技能実習で介護職の方を雇用するのはお勧めいたしません。
EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士とは、日本の介護施設で就労しながら介護福祉士の資格取得を目指す外国人の方を指します。インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国のみが対象国です。介護福祉士候補者になるためには、それぞれの国別に要件があり、それをクリアする必要があります。
EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者は、原則として受入れ施設で4年間、就労しながら介護福祉士国家試験の合格を目指します。このEPA介護福祉士候補者の受入れは、国同士の連携強化を目的としており、介護人材の不足を補充するための措置ではありません。そのため、通常の就労とは若干異なります。就労は研修であり、あくまでも国家資格の取得を目標としたものであることが求められるからです。
在留期間は介護の場合原則4年ですが、介護福祉士国家試験に合格して「介護」などのビザを取得することで引き続き就労することが可能となります。実際に介護福祉士候補者の受入れを希望される場合のご相談は、国内唯一の受入れ調整機関である国際厚生事業団(JICWELS)にお問い合わせください。
身分系の在留資格は「永住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」「定住者」の4つです。これらの在留資格は日本人と結婚しているなど、その身分により許可されています。このため、就労ビザのような業務範囲の制限はありません。夜勤や「介護」ビザ以外で禁止されている訪問介護も可能です。特定技能や技能実習のような滞在年数の制限もありません。
身分系在留資格の問題点は、雇用側が感知しない一定の個人的な事情により在留資格を失う可能性があります。例えば、「日本人の配偶者等」で在留している方が離婚される場合などがこれにあたります。
しかし、それでも外国人の方を雇用する場合、最も簡単なのはこの身分系在留資格をお持ちの方を採用する場合です。他の在留資格の様に複雑な条件や給与以外の経済的負担が新たに生じないメリットは非常に大きいと言えます。
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