建設業・工事業で外国人を雇用する際にはどのような就労ビザが必要になるのかを解説します

外国人の方が日本で就労する際は仕事内容にあったビザを取得している必要があります。この点、建設業・工事業で外国人の方を採用するときのビザとしては次のようなものが考えられます。なお、法例上工事業は建設業に含まれるのですが、わかりやすさを優先して建設業・工事業と記載しています。

a)技術・人文知識・国際業務
b)特定活動46号
C)日本人の配偶者等や永住者などの身分系在留資格
d)特定技能・育成就労
e)その他、技能や資格外活動許可、特定活動(9号)など

それぞれの在留資格によって就労可能な仕事内容の範囲やビザ取得のための条件が異なっています。以下、それぞれについて簡単に見ていきます。

a)技術・人文知識・国際業務

まずは就労ビザの代表ともいえる「技術・人文知識・国際業務」ビザです。このビザは大学や日本の専門学校を卒業した外国人の方が、建設会社や工事で施工管理や設計、マーケティングなどの仕事に就く際に取得できます。

「技術・人文知識・国際業務」が許可されるためには申請する方の学歴・経歴と就労予定の業務内容に関連性があることが求められます。施工管理や設計であれば大学の建築学部や理工学部の建築学科、マーケティングなどであれば経営学部や商学部を卒業している方などが当てはまります。

日本の専門学校を卒業している方も学歴・経歴と就労予定の業務内容に関連性があればこのビザを取得可能ですが、「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」認定校などの一部の例外を除き、大学卒業の方よりも強い関連性が必要になります。理論上はこういった学歴がない方の場合でも10年の実務経験を証明できれば許可を得られますが、実際にはその実務経験の証明が難しい場合が多く、かなり難しい申請になります。

「技術・人文知識・国際業務」ビザで外国人の方を雇用するメリットは特定技能や育成就労に比べ大きく申請時のコストやランニングコストを抑えることができる点です。特定技能や育成就労の場合は国内で採用した場合でも平均して採用時に30~40万円、月々に2~4円の費用が掛かります。

デメリットとしてはこのビザはいわゆる”ホワイトカラー”の仕事に就くことがビザ取得の条件になっているため、現場での建設作業を主な業務とすることはできません。

b)特定活動(46号)

次にご紹介するのが特定活動(46号)というビザです。特定活動は簡単に言うと他のビザに当てはまらない”その他”のような在留資格のことです。そのため、それぞれの特定活動ビザに番号が振られています。特定活動(46号)は日本の大学を卒業して高度な日本語能力を持った留学生の方が取得できます。

このビザで行うことができるのは「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」であり「日本の大学・大学院で習得した広い知識、応用的な能力を活用する業務」である必要があります。例えば建設現場や工場での外国人従業員への指示伝達や業務指導、品質管理、労務管理、製造ライン作業などを行うことができます。ただし、製造ラインで指示された作業のみ続けるようなことは認められません。

「特定活動(46号)」のメリットは「技術・人文知識・国際業務」で行うことができないとされている単純作業も一定の範囲で行うことが認められている点です。前述のように外国人従業員への指示伝達や業務指導と並行しててあれば製造ライン作業などを行うことができます。

デメリットとしては取得条件がかなり厳しい点です。このビザの取得条件は次のようになります。

【特定活動(46号)の取得条件】
(1)短期大学を除く日本の大学を卒業しているか、または大学院の課程を修了して学位を授与されている
(2)日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬である
(3)日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上
(4)日本の大学または大学院において修得した広い知識及び応用的能力等を活用するものと認められる業務内容で正社員・契約社員として勤務すること

正直このような厳しい条件を満たしている外国人の方は多くはありません。

C)日本人の配偶者等や永住者などの身分系在留資格

「日本人の配偶者等」「永住者」「定住者」など一定の身分に基づいた資格を通称身分系資格と呼びます。これらのビザをお持ちの方は就労ビザと異なり就労制限がありません。現場に出て仕事をするのも事務所で経理や設計の仕事をするのも自由です。

したがって、就労を開始する際に新たに就労ビザを取得する必要もありません。単純に外国人の方を雇用する場合には日本人の配偶者等」や「永住者」などの身分系の在留資格をお持ちの方を採用するのが一番簡単です。

デメリットとしては身分系資格はその方の”身分”に基づいているため、その身分を失うと同時に在留資格を失う事になります。例えば「日本人の配偶者等」では離婚した場合などです。このように会社とは関係のない個人の事情により在留資格を失う可能性がある点にはご注意ください。

d)特定技能・育成就労(旧技能実習)

「特定技能」制度は、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。この16分野ある産業分野に建設業が含まれています。特定技能には1号と2号があります。特定技能の場合、取得条件として申請者本人は業務に関する特定技能評価試験に合格して日本語能力試験でN4以上を受けている必要があります。

一方で「育成就労制度(旧技能実習)」は日本の発展のための人材育成と人材確保を目的とした制度になる予定の制度です。この記事を作成している2024年現在からそう遠くないうちに技能実習制度が廃止され、この育成就労制度がスタートします。育成就労制度では、外国人材を3年間の育成期間で特定技能1号の水準にすることを目標にしています。つまり、特定技能を取得する前の段階と考えることもできます。

「特定技能・育成就労」ビザのメリットはともに現場で働くことが可能であるという点です。「技術・人文知識・国際業務」や「特定活動(46号)」の様に業務内容に関する制限はありません。

デメリットは、どちらのビザもビザの取得がかなり複雑でしかも大きく申請時のコストやランニングコストがかかる点です。また、雇用する会社にも条件があるのですが、その中でも一番条件をクリアすることが難しいのが”外国人受け入れの体制があること”です。この条件がかなり厳しく、通常の会社であれば条件を満たすことはできません。そのため、外国人の支援業務を受入れ支援機関に委託する必要があります。この受入れ機関に支払う費用などで前述のように平均して採用時に30~40万円、月々に2~4円の費用がかかります。

e)その他、技能や特定活動(9号)、資格外活動許可など

上記のほか、海外様式の建築物の建設・施工・組立を職務内容とする場合には「技能」ビザを、外国の大学の学生が行うインターンシップであれば特定活動(9号)取得できる場合があります。

また、アルバイトであれば資格外活動許可を得て「家族滞在」「留学」ビザの方も仕事を行うことができますが、労働することができる時間は週で28時間以内という制限があります。この週28時間の数え方は特殊で、週のどこで切っても週28時間以内である必要があります。この制限を超えて就労してしまうと在留資格の更新が認められない可能性が高くなるためご注意ください。


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