留学生の方が専門学校を転校する際の注意点

留学生の方が専門学校を転校する際の手続きと気を付けた方が良い点について解説します

日本に滞在する外国人の方には何らかの在留資格、一般的にはビザが必要になります。このうち外国人の方が日本の教育機関で学ぶ場合に求められるのは「留学」のビザです。

この点、「留学」のビザ取得の際に学校が「留学」ビザ申請を代行してる場合があります。

「留学」のビザを取得する際に指定された資料を学校に提出するだけで取得できた方もいらっしゃるでしょう。そのため、このビザについてあまりご存じではない留学生の方は少なくないのではないでしょうか。

そこで本ページではこの「留学」ビザで転校する転校する際の手続きと注意点を、専門学校に通っている場合を例にとって解説していきます。

留学生の方が専門学校を転校する際の手続き

専門学校の方が「留学」ビザを許可されるの際に在籍する教育機関が具体的にどこであるかは指定されていません。そのため、「留学」ビザをお持ちの方は、そのビザの有効期限内であれば新しく「留学」のビザを取得することなく別の学校に転校することができます。これは転校先が別の専門学校という場合だけでなく、日本語学校や大学である場合も同様に再度ビザを取得する必要はありません。日本の教育機関であれば条件を満たします。

しかし、一切の手続きが不要なわけではありません。専門学校を転校する際に新たにビザを取得する必要はありませんが、現在通っている学校をやめてから14日以内に入国管理局への「活動機関に関する届出」が必要になります。

この「活動機関に関する届出」はインターネットや郵送、または最寄りの地入国在留管理局で申請することができます。インターネットでの届出は便利ですが事前に利用者登録をする必要があります。少々手間ですが、今後のことを考えると早い段階で登録をしておいた方が良いでしょう。

転校の場合、届出書の様式は「離脱と移籍」の届出です。この届出を怠ると法令上は20万円以下の罰金になります。実際に罰金が科せられることはめったにないのですが、ビザの更新の際に確実にマイナス材料として扱われます。場合によっては”在留期間中の素行に問題がある”としてビザの更新ができない可能性もあります。ご注意ください。

留学生の方が専門学校を転校する際の注意点

次に留学生の方が専門学校を転校する際の注意点について記載します。

日本で就職する際には専門学校で学んだ内容と就労内容に関連性が求められます

専門学校を卒業した方が卒業後に日本での仕事を希望する場合、「留学」ビザから就労ビザへの変更が必要になります。この就労ビザとして代表的なものが「技術・人文知識・国際業務」です。日本の専門学校を卒業した方がこの「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得する際の条件として主なものは”専門学校で学んだ内容と職務内容に強い関連性があること”です。

例えば、国際ビジネスを専門学校で学んだ方の場合には国際貿易などを職務内容とした仕事に就くのであれば「技術・人文知識・国際業務」が許可される可能性があります。しかし、このような方が通訳・翻訳を職務内容とする仕事に就く場合には、よほど多くの語学に関する単位数を専門学校で取得していないと「技術・人文知識・国際業務」は許可されません。

したがって、専門学校を転校される場合に卒業後も日本で仕事をすることを考えるのであれば、その転校先で学ぶ内容がご希望の職務内容に合致しているかをご確認ください。なお、服飾関係や調理関係の専門学校の場合には「技術・人文知識・国際業務」の範囲に入らない可能性が高く、他のビザの取得も難しいため卒業後に就労ビザを取得できない場合がありますのでご注意ください。

外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定を受けている学校は卒業後のビザ取得がしやすくなります

令和5年6月から「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」が開始されました。この制度では外国人留学生のキャリア形成促進をに役立つ教育を行っている専門学校を文部科学大臣が認定し、認定された学校の学科を卒業した場合には一定の入管法上の優遇措置を設けています。

前述のように専門学校を卒業後に「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得する際には”専門学校で学んだ内容と職務内容に強い関連性があること”が求められます。これに対し、大学卒業者の方の場合は専門学校を卒業した方のような強い関連性は求められません。かなり緩やかな関連性でビザが許可されます。

そして「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」で認定された学校の学科を卒業した方の場合、専門学校で学んだ内容と職務内容の関連性を大学卒業の方と同様に緩やかに判断されます。例えば、前述の国際ビジネスを専門学校で学んだ方が通訳・翻訳を職務内容とする仕事に就く場合に専門学校で取得するべき語学関係の単位数はそれほど多くなくとも「技術・人文知識・国際業務」ビザが取得できます。卒業後の選択の幅が一気に広がるため、非常に大きなメリットがあると言えます。

専門学校の転校を考えている方は、まず今お通いの学校の学科が「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定を受けているかどうかご確認ください。転校先の学校が認定を受けていない学校の場合には上記のメリットを失うことになります。反対に今お通いの専門学校の学科が認定を受けておらず、転校先の学校の学科が認定を受けている場合には上記メリット受けることができるようになります。

専門学校をやめて就職するのは特別な場合を除き、非常に難しいのが実情です

ご希望の転校先が見つからず、転校ではなく今通っている専門学校をやめて就職をしたいというご質問をいただくことがあります。結論から言いますとこれは避けた方が良いです。

「留学」ビザは日本で学ぶためのビザです。学校を退学した場合、当然にこのビザの資格を失います。日本で働く場合には就労ビザを取得する必要があるのですが、就労ビザの代表である「技術・人文知識・国際業務」を取得するためには一定の学歴・経歴が求められます。日本の専門学校を卒業し、学位を取得していないとこの条件を満たしません。また、この就労ビザでの審査の際に「留学」ビザで入国した方が学校を退学していると審査で大きなマイナス材料として扱われます。このため、専門学校をやめて就職をお考えになっても、すでに大学を卒業しているなどの特殊な事情がない限りは就労ビザの取得が現実的に難しいと言えます。

専門学校の方は在学中に日本語能力検定N1やN2を取得しておくことをお勧めいたします

最後に本ぺ－ジのテ－マとは無関係ですが、経験上専門学校の方は在学中に日本語能力検定N1やN2を取得しておくことをお勧めいたします。前述のように「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定を受けている学校の学科を卒業した方には卒業後の選択肢が大きく広がります。これは日本語能力についても同様です。日本語能力検定は1度取得すれば有効期限は特にありません。ビザ申請に関する様々な場面でプラス材料として判断されます。通常の勉学と並行して取得するのは非常に大変とは思いますが、ぜひご検討ください。