「技術・人文知識・国際業務」のビザではどのような業務を行うことができるのか

「技術・人文知識・国際業務」ビザは数ある就労系在留資格の中でも最も多くの外国人の方が利用している在留資格です。

「技術・人文知識・国際業務」は、平成26年の入管法改正により「人文知識・国際業務」と「技術」の在留資格が統合されて創設された在留資格になります。

このため「技術・人文知識・国際業務」では多くの業種を含み、採用などの際にこの在留資格ではどのような仕事をすることができるのか疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。

そこで、本ページでは「技術・人文知識・国際業務」にはどのような業種が含まれるのかについて解説していきます。

「技術・人文知識・国際業務」に含まれる業種は大別して

”技術”に該当する業務
”人文知識”に該当する業務
”国際業務”に該当する業務

の3つにそれぞれ分類されます。以下、それぞれについ見ていきます。

”技術”に該当する業務

”技術”は理学、工学などの自然科学の分野の業務を指します。主に技術者の方が該当する分野と考えてよいでしょう。具体的には次のような業務内容が該当します。

【”技術”に該当する業務の例】
・アプリケーション開発などのシステムエンジニア
・プログラマー
・情報セキュリティー技術者
・CADオペレーター
・機械設計や回路設計など機械工学系の技術者
・建築・土木の設計者

「技術・人文知識・国際業務」は申請する方のこれまでの学歴や経験を活用できる一定の専門的な業務内容であるディスクワークの場合に許可されます。したがって、「技術・人文知識・国際業務」の”技術”分野に該当するのは、具体例にある通りシステム開発やプログラミング、設計業務などになります。現場での単純作業はできませんのでご注意ください。

”技術”分野で「技術・人文知識・国際業務」のビザを取得している方からは、会社で何年か勤務した後にフリーランスとして働きたいというご相談を受けます。この場合も「技術・人文知識・国際業務」のビザのままで良いのですが、ある程度収入の安定性が求められるため長期間の契約がない場合にはビザの更新ができないこともあります。

「技術・人文知識・国際業務」のビザでこの分野の業務内容を行うには申請する外国人の方が大学の理学部、工学部などを卒業していると審査の際の評価が高くなります。この分野では”人文知識”や”国際業務”と比べて専門性が高いため、学歴・経歴と職務内容の関連性が強く求められます。反面、関連性が認められる場合には比較的許可されやすい傾向があります。ただし、建設業等の工事関係の技術者の方の場合には現場で作業をするかもしれないという入国管理局の疑念を晴らすことが必要な点にご注意ください。

日本の専門学校でこういった内容を学んでいる場合も許可される可能性はあります。ただし、大学卒業の方と比べて学校で学んだ内容と実際に行う職務内容との関連性の審査基準は厳しくなります。

”人文知識”に該当する業務

”人文知識”は法律学、経済学、社会学その他人文科学の分野の業務を指します。この分野に該当する業務内容は多岐にわたります。具体的には次のような業務内容が該当します。

【”人文知識”に該当する業務の例】
・広報、企画、営業
・マーケティング
・コンサルティング
・経理、会計
・人事
・総務

「技術・人文知識・国際業務」の”人文知識”分野に該当するのは、具体例にあるようないわゆる文系の職務内容です。前述のように「技術・人文知識・国際業務」は申請する方のこれまでの学歴や経験を活用できる一定の専門的な業務内容であるディスクワークの場合に許可されます。したがって、単なる”伝票整理”や”電話対応をして顧客名簿に記載する”といった業務内容では許可されません。

「技術・人文知識・国際業務」のビザでこの分野の業務内容を行うには申請する外国人の方が大学の経済学部や商学部などを卒業していると許可を得やすくなります。この分野では”技術”と比べると専門性が高いとは言えません。そのため、学歴・経歴と職務内容の関連性の審査は比較的緩やかな傾向があります。

例えば上記のような経済学部や商学部などを卒業していない場合でも、大学で文系の学部を卒業して経理や会計についての単位を取得していれば「技術・人文知識・国際業務」が許可されることは珍しくありません。ただし、さすがに大学で全く学んでいないことを職務内容とする場合に許可を得ることは厳しいかと思います。

また、この分野でも専門学校卒業の場合には学校で学んだ内容と職務内容の関連性は原則として大学を卒業している方よりも強く求められます。2024年2月29日付にて法改正があり一部の専門学校では要件の緩和されましたが、あくまで文部科学省から認定を受けた専門学校を卒業している方のみが対象となる点にご注意ください。

”国際業務”に該当する業務

”国際業務”は翻訳、通訳、語学の指導、海外取引業務、デザイナーなどの業務を指します。具体的には次のような業務内容が該当します。

【”国際業務”に該当する業務の例】
・通訳、翻訳
・民間の語学講師
・海外貿易
・デザイナー

「技術・人文知識・国際業務」の”国際業務”分野に該当するのは、日本国内の文化の中では身につかない、外国人の方特有の思考や感受性を生かした職務内容です。「技術・人文知識・国際業務」は業務内容に一定の専門性を求めます。したがって、このような外国人の方ならではの強みや感性を生かしたものも一定の専門性があるとして「技術・人文知識・国際業務」に含まれます。

なお、日本で語学を教える仕事に就く場合、公立の学校で教える場合には「教育」、大学で教える場合は「教授」、私立の学校や語学スクールで教える場合に「技術・人文知識・国際業務」になります。

「技術・人文知識・国際業務」のビザでこの分野の業務内容を行うための条件は他の”技術”や”人文知識”と異なり3年以上の実務経験を求められます。ただし、通訳、翻訳、語学の指導の職務内容の仕事に就く場合には大学を卒業していれば実務経験は不要になります。

”国際業務”は外国人の方特有の思考や感受性を生かした職務内容であるため、学歴よりも経験を重視しています。通訳、翻訳の仕事は大学を卒業している場合には通訳、翻訳の仕事をするための土台がある可能性が高いため、実務経験が不要になります。この場合でも、大学で日本語について学んでいるか、または日本語能力検定でN1やN2の評価を受けているなど、通訳、翻訳の仕事を実際に行うことができるだけの下地があるかについて審査されますのでご注意ください。

また、入国管理局が示す”国際業務”の例に”デザイナー”とありますが、実際にこのビザを取得するのはかなり難しいでしょう。専門学校で服飾関係を学んでいたとしても条件は満たしません。3年以上の実務経験が求められるため、日本の専門学校を卒業した方が卒業後すぐにこの方法でビザを取得することは通常できません。

専門学校卒業の場合には原則として学校で学んだ内容と職務内容の関連性が強く求められる点は”技術”や”人文知識”分野と同様です。

業務内容についての注意点

最後にこのような「技術・人文知識・国際業務」で行う事の出来る業務についての注意点です。

「技術・人文知識・国際業務」ではご本人の学歴・経歴と実際に行う職務内容に関連性が求められます。「技術・人文知識・国際業務」をお持ちの外国人の方であっても「技術・人文知識・国際業務」に該当するどのような仕事でもできるわけではない点にご注意ください。上記に該当し「技術・人文知識・国際業務」の範囲内にある業務であっても、外国人の方ご自身の学歴や経歴と関連性のない業務内容を行うことはできません。

また、「技術・人文知識・国際業務」を保持している方が同じ業務内容で転職した場合に新たに「技術・人文知識・国際業務」を取得する必要はありません。

業務内容が変わる場合であっても、新たな業務内容が上記のような「技術・人文知識・国際業務」の範囲内にあるのであれば同様です。ただし、この場合にはビザ更新の手続きが実質新規のビザ取得手続きと同様になるため、事前に「就労資格証明書」を取得しておくことをお勧めいたします。この証明書を取得している場合は通常の更新申請になるからです。


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