帰化許可申請書に添付して提出する書類について解説します

帰化申請で申請の際に提出する書類として、一般的なものは東京法務局のホームぺ-ジで公開されています。

しかし、”一般的な書類”といっても申請に関して一般的というだけで、日常生活にはなじみのない書類も少なくありません。そこで本ぺ-ジでは東京法務局で公開されている提出書類について解説していきます。

なお、提出する書類はおおまかに以下のように分類できます。

【帰化申請の提出書類】
① 作成が必要なもの
② 公的機関から取得するもの
③ 免許証などのもともと手元にあるもの

このペ-ジでは② 公的機関から取得する書類について解説しています。

提出書類全般に関する注意事項として、提出する書類が外国語で書かれているものの場合、別紙で全訳を添付します。在留資格申請でも同様の場合には訳を添付するのが原則ですが、こちらの場合には英語等であれば訳文をつけずとも申請が通ることが少なくないのに対し、法務局に提出する帰化申請では訳文がない場合にはそもそも受け付けてくれません。

加えて、訳文には翻訳者の氏名及び住所、翻訳日を記載するなど厳しくル-ルが定められています。ルールを守っていない書面は通常再作成を指示され、再作成が指示された場合には再度相談の予約を取らなければならないため帰化申請にかかる時間が大幅に伸びてしまいます。ご注意ください。

また、指示された書面が何らかの事情で用意できない場合にはその旨を相談時に法務局の担当者へその内容を伝え、指示を受けてください。

なお、実際にそれぞれの方が提出を求められる申請書類と添付書類は初回相談時に法務局の担当官の方から具体的に指示があります。その際に指示される書類はここで公開されているものだけとは限りません。

1.本国法によって行為能力を有することの証明書

帰化申請の要件に”18歳以上で本国法によって行為能力を有すること”というものがあります。ここでいう行為能力とは法律用語で「自分が行なった法律行為の効果を確定的に自分に帰属させる能力のこと」を指します。簡単に言うと”一人で法律行為を行うことができる能力”の事です。

帰化申請では、年齢の条件を満たし、かつこの能力があること証明するために母国の官公署が発行した証明書が必要になります。例えば韓国の方であれば「家族関係登録証明書」、台湾の方であれば「戸籍謄本」などです。

ただし、この書面は次のような方の場合には提出が免除されます。

【行為能力を有することの証明書の提出が免除される方】
(1) 日本人の配偶者
(2) 日本人の子
(3) 日本の国籍を失った方
(4) 日本で生まれ、生まれた時から無国籍で、生まれた時から引き続き3年以上日本に住所を有する方

”日本人の子”には縁組の時に本国法により未成年であった養子で、かつ、1年以上引き続き日本に住所を有する方を含みます。また、”日本国籍を失った方”は他国の国籍を得て日本国籍の「国籍離脱の届出」を行った方などが当てはまります。

この条件に当てはまる方は、ほとんどの場合に後述の日本の戸籍を取得・提出を求められます。それらの書面からで行為能力の確認ができるため、提出が免除されています。

2.国籍証明書

「国籍証明書」は原則として日本にある申請人の方の母国の大使館又は領事館で取得します。しかし、この国籍証明書の制度の有無は国によって異なります。そのため、アメリカ、イギリス、ブラジルの方は出生証明書を代わりに使用する場合もあります。

ここで注意しなければいけないのが、一部の国ではこの証明書を発行すると本国の国籍を失う国もある点です。したがって、国籍証明書は必ず法務局の担当者の指示があったときに取得し、提出するようにしてください。帰化申請をなるべく短時間で済ませたいというお考えはもっともなのですが、大変危険な場合があり得ます。

なお、韓国・朝鮮の方の場合、本国官憲発行の家族関係登録簿に基づく日本で言う記載事項証明書と同様の「基本証明書」という書類を提出すれば良いことになっています。この基本証明書を提出することができない場合には韓国・朝鮮の戸籍謄本または除籍謄本の提出しが必要になります。除籍謄本は戸籍の対象者が亡くなられている場合の戸籍に関する証明書類です。

戸籍謄本または除籍謄本の提出もできない場合には帰化申請の申請人の方の身分関係の記載がある身分事項の記載のある日本の戸籍謄本や除籍謄本、戸籍届書の記載事項証明書等を提出します。

また、有効期限が切れたものを含めて、全てのパスポートの写しが必要です。この写しは原則として未使用ぺ-ジ以外の出入国等に関する押印がされている全てのページの写しが求められます。

3.身分関係を証する書面

帰化に関する国籍相談は予約制です。東京都の場合、初回の相談の予約を入れる際にはこの身分関係を証する書面を可能な限り準備してから予約を入れるように指導されます。

この際、完璧に書類を揃えないと予約ができないわけではありません。Webサイトの記載からはまるで必要な書類をできるだけ用意してからでないと予約できないようにも見えますが、実際はそこまでではありません。お住まいを管轄する法務局にご確認ください。法務局の問い合わせ窓口は入国管理局のようにほとんどつながらないという事はありません。

身分関係を証する書面は申請者の方の母国で発行される次のようなものを指します。

【身分関係を証する書面の例】

  • 出生証明書
  • 婚姻証明書
  • 親族関係証明書

※国によって名称が異なります

簡単に言えば、出生、結婚、家族関係に関する本国の書類です。本国でこのような内容に該当する書類をできるだけご用意ください。なお、親族関係証明書に兄弟姉妹の記載がない場合は兄弟姉妹の出生証明書が、死亡している場合は死亡した兄弟姉妹の死亡証明書が求められます。

韓国・朝鮮の方は家族関係登録簿に基づく証明書を提出します。この証明書は基本証明書、家族関係証明書、婚姻関係証明書、入養関係証明書、親養子入養関係証明書、父母の家族関係証明書及び母の婚姻関係証明書の全てです。また、韓国・朝鮮の方は戸籍謄本等も提出してください。また、中国(台湾)籍の方も台湾戸籍謄本を提出します。
  
なお、離婚歴がある方は、離婚事項の記載のある婚姻関係証明書又は戸籍謄本も必要になります。戸籍の一部を記載した部分謄本又は抄本は認められません。

そして、次のような場合には、日本人である方、あるいは日本人であった方の日本の戸籍謄本や除籍謄本も提出します。

【日本の戸籍謄本等を提出する場合】

  • 申請者の配偶者が日本人であるとき
  • 申請者の子が日本人であるとき
  • 申請者の父母が日本人であるとき
  • 申請者が日本国民であった方の子であるとき
  • 申請者が日本の国籍を失った方であるとき
  • 申請者の親・兄弟姉妹・子の中で帰化又は国籍取得をした方がいるとき

申請者の配偶者が日本人であるとき”には配偶者の方と離婚している場合や内縁関係の場合を含みます。また、”申請者の子が日本人であるとき”には養子である場合も含みます。

申請者が日本国民であった方の子であるときと申請者が日本の国籍を失った方であるときに提出する戸籍には日本国籍喪失事項の記載があるものが必要です。身分事項の欄に”国籍喪失”の記載があり、国籍喪失日、喪失自由、届け出日の記載があるかをご確認ください。取得した戸籍にこの記載がない場合には戸籍の改製の際に削除された可能性があります。その場合には改製前の事項が記載された原戸籍(はらこせき)を取得してください。

同様に、申請者の親・兄弟姉妹・子の中で帰化又は国籍取得をした方がいるときに提出する戸籍には帰化事項又は国籍取得事項の記載があるものが求められます。

次に、帰化申請の申請者の方が日本において出生し、また、婚姻、離婚、養子縁組等をしているとき、及び父母等が日本において婚姻、離婚、死亡しているときは、次の証明資料が必要です。簡単に言えば日本で何かしらの公的な届け出をしている場合です。

【各種証明書の提出が必要になる場合の証明書の例】

  • 出生届の記載事項証明書(本人及び兄弟姉妹の出生届の記載事項証明書)
  • 死亡届の記載事項証明書
  • 婚姻届の記載事項証明書
  • 離婚届の記載事項証明書
  • 親権者変更届等の記載事項証明書
  • 養子縁組届の記載事項証明書
  • 認知届の記載事項証明書
  • 就籍の審判書

離婚届の記載事項証明書には裁判離婚の場合であれば調停調書、和解調書、認諾調書の謄本又は確定証明書のついた審判書若しくは判決書の謄本等も併せて提出します。親権者変更届等の記載事項証明書についても裁判離婚の場合であれば同様です。

基本的に国内、国外を問わず、出生、婚姻、離婚、親族関係その他の証明書(公証書)  離婚、親権について裁判をしている場合は裁判の確定証明書のついた審判書又は判決書の謄本が求められます。

なお、これらの内容についてについての届出事項の記載のある日本の戸籍謄本もしくは除籍謄本を提出した場合には提出が免除される場合があります。したがって、ずは日本の戸籍を取得し、記載されている内容を確認することをお勧めいたします。

身分関係を証する書面は、その人の親族関係により異なります。初回の相談時には可能な限り集め、詳細は法務局担当官に確認してください。

4.国籍を有せず、又は日本の国籍を取得することによってその国の国籍を失うべきことの証明書

この証明書は法務局の担当官の方から指示があった場合にのみ提出します。基本的に在日大使館等で申請します。

世界の8割ほどが二重国籍を認めていますが、日本の国籍法では二重国籍を認めていません。そのため、帰化が認められた場合にそれまで国籍を有していた国に対し、国籍離脱の届出が必要になることがあります。

なお、韓国などの法律で他国の国籍を取得すると当然に韓国籍を失う旨の法制度を取っている国の方の場合には原則としてこの手続きは必要ありません。

5.居住歴を証する書面

居住歴を証する書面としては世帯全員の記載のある住民票を提出します。住民票を取得する際に、個人番号(マイナンバー)、住民票コードが記載されていないものを取得します。取得の際に特にチェックをいれなければ通常は問題あありません。取得した住民票に氏名、生年月日、性別、国籍、在留資格、在留期間、在留期間の満了日、在留カード番号が記載されていることを確認してください。

この住民票は帰化申請の居住期間を満たしている事の確認に用いられます。基本的に帰化申請で求められる居住期間は5年間ですが、帰化申請する方が日本人の配偶者の場合や日本人の実子の場合など居住条件が緩和される場合がいくつかあります。

住民票に記載されている内容から居住期間を満たしていることが確認できるかどうかをチェックしてください。現在お住まいの場所の住民票で居住期間の条件の期間を満たさない場合には以前にお住いの場所の除住民票も添付し、住民票の居住期間から法定の条件を満たすことが確認できるようにします。

また、帰化申請では世帯が別であっても一緒に住んでいる方がいればその方の住民票も必要です。帰化申請では住所が同じであれば生計が同じと判断されます。したがって、帰化申請の申請者の方と内縁関係にある方についても、原則として現在の住民票の写しを提出します。

6.運転記録証明書

帰化申請の素行要件では大きな交通違反等を起こしていないかどうかも確認されます。そのため、自動車運転免許証を持っている方は自動車安全運転センターが発行した過去5年間の運転記録証明書を提出します。この証明書は発行後2ヵ月以内の証明書が求められます。

取得には1~2週間かかりますのでご注意ください。また、提出の際には自動車免許証の表裏両面の写しも併せて提出します。なお、自動車運転免許を失効された方又は取り消された方は運転免許経歴証明書を提出します。

7.資産・収入・納税に関する各種証明書

前述のように帰化申請では同居している方は生計を同じくすると判断されます。そのため、帰化申請をする方の書類はもちろん、配偶者の方なども書類を提出する必要があります。

「収入関係を証明する書面」としては次のようなものを提出します。

【収入関係を証明する書面の例】

  • 在職証明書
  • 直近1か月分の給与証明書又は給与明細書
  • 源泉徴収票
  • 個人事業経営者の方は許認可証明書
  • 会社等法人の役員の方は会社等法人の登記事項証明書、許認可証明書

許認可証明書は営業許可書や各種免許書類等が該当します。在職証明書の職種には具体的な職務内容まで記載してもらうようにしてください。

「資産関係を証明する書面」は、不動産を所有している方・借りている方は土地・建物の登記事項証明書、賃貸借契約書の写しを提出します。預貯金を有している方は預貯金通帳の写し又は銀行、郵便局等で証明を受けた預貯金現在高証明書、Web通帳を印刷したものなどを提出します。

その他、国外居住親族を扶養している方は海外送金依頼書の控え等の書類、年金を受給している方は年金額改定通知書、年金振込通知書、公的年金等の源泉徴収票などの受給を証明する書面の提出が求められます。なお、児童手当・育休手当等の各種手当を受給している方はそれを証する書面の提出が必要です。

「納税に関する証明書類」は次のようになります。

東京法務局Webサイトより



【給与所得者の方で確定申告義務がない方】

・総所得金額が記載された都道府県・市区町村民税の課税証明書
・都道府県・市区町村民税の納税証明書
源泉徴収票
※それぞれ直近の1年分

この期間に転職をされて複数の源泉徴収票がある場合はすべての源泉徴収票を提出します。この際、源泉徴収票にく記載されている合計と課税証明書に記載されている所得額が一致しているか確認してください。

【給与所得者の方で確定申告義務がある方】
上記の課税証明書、納税証明書、源泉徴収票の他に以下の書類が必要になります。

・直近3年分の税額及び所得金額が記載された所得税の納税証明書(その1、その2)のペ-ジ
・直近1年分の所得税の確定申告書(添付書類を含む)の控え

【個人事業主の方】
上記の課税証明書、納税証明書、源泉徴収票の他に以下の書類が必要になります。

・直近3年分の消費税の納税証明書(その1)のページ
・直近3年分の事業税の納税証明書
・直近1年分の源泉所得税徴収高計算書(納付書)又は領収済通知書の写し

【会社等法人の役員の方】
上記の課税証明書、納税証明書、源泉徴収票の他に以下の書類が必要になります。

・直近1年分の法人都道府県・市区町村民税の納税証明書
・直近3年分の法人の事業税の納税証明書
・直近3年分の税額及び所得金額が記載された法人税の納税証明書の (その1)(その2)のペ-ジ
・直近3年分の法人の消費税の納税証明書(その1)のページ
・直近1年分の法人税の確定申告書(決算報告書等を含む)の控え
・直近1年分の源泉徴収簿(申請者に関するもの)の写し
・直近1年分の源泉所得税徴収高計算書 (納付書)の写し、領収済通知書の写し

8.社会保険料の納付証明書

社会保険料の納付証明書では基礎年金番号、ねんきん定期便の照会番号、アクセスキー、被保険者証の保険者番号、被保険者記号・番号が記載されているものを提出する場合には該当する箇所にマスキングの処理を行ってください。提出する書類は次のようになります。

【社会保険料の納付に関する証明書】

  • 健康保険被保険者証又は組合員証(表・裏)の写し
  • 公的年金保険料の納付証明書
  • 国民健康保険料の納付証明書
  • 後期高齢者医療保険料の納付証明書
  • 介護保険料の納付証明書
  • 厚生年金保険法・健康保険法の適用事業所の事業主に係る納付証明書

各証明書は直近1年分を提出します。

健康保険被保険者証又は組合員証(表・裏)の写しは世帯全員分のものを提出します。

公的年金保険料の納付証明書は日本年金機構が発行したねんきん定期便の写し、年金保険料の領収書の写し、被保険者記録照会回答票、ねんきんネット年金情報を印刷したもの等を提出します。

国民健康保険料を納付している場合、納付証明書としては国民年金保険料納付証明書、国民年金保険料の領収書の写し、口座振替結果通知の写し等があります。

後期高齢者医療保険料を納付している場合、後期高齢者医療保険料納付証明書、後期高齢者医療保険料の領収書の写し、口座振替結果通知の写し等を納付証明書として提出します。

介護保険料を納付している場合、納付証明書になるのは介護保険料納付証明書、介護保険料領収書、納付額通知書の写し等です。
  
事業者の方で厚生年金保険法・健康保険法の適用事業所の事業主に係る納付を行っている場合には年金保険料・公的医療保険料の領収書の写し、社会保険料納入証明書等を提出します。 

9.その他の参考資料

上記の資料のほか、次のような書類を求められることがあります。法務局の担当者から指示があった場合はその指示に従ってください。

【その他の参考資料として法務局の担当者から指示されることがある書類】

  • 学生の方は在学を証する書面
  • 最終学歴を証する書面
  • 技能・資格を証する書面(例:日本語能力試験の成績証明書)
  • 預金通帳(提示)
  • 運転免許証の現物(提示)
  • 家族全員が写ったスナップ写真
  • 病気中であれば医師の診断書
  • 警察からの感謝状
  • 不動産を所有している場合、その内部・外部の写真

なお、東京都の場合は初回相談時までに以下の書類に必要事項を記載し、当日持参してください。

【初回相談時に持参する特別な書類】
・帰化相談質問票
・帰化相談必要書類の確認表
※東京法務局ホ-ムページからダウンロードできます


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