専門学校卒業者の方が「技術・人文知識・国際業務」が不許可になる場合について解説

当事務所のWebサイト、”在留資格「技術・人文知識・国際業務」(3)~(6)に引き続き、出入国在留管理庁のWebサイトの許可・不許可の事例について、なぜ許可・不許可になるか、当事務所の見解を添えて解説しています。

あくまで当事務所の見解のため、別の解釈も可能な点はご了承ください。

本ページでは専門学校卒業者の方が「技術・人文知識・国際業務」ビザを申請した場合の不許可事例について記載しています。不許可事例を知り、その原因を避けるようにすることで許可を得る可能性が高まるという考えから作成しています。ご参考になれば幸いです。

専門学校を卒業した方の不許可事例 引用元:出入国在留管理庁のWebサイト

下記の事例は日本の専門学校を卒業した方が「技術・人文知識・国際業務」ビザを申請した場合に取得が許可されなかった事例です。大学と異なり、海外の専門学校を卒業は日本の入管法上、学歴には含まれません。そのため、特に学位を取得している場合を除いて、海外の専門学校を卒業しただけでは「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得の条件を満たしません。

全般的に専門学校卒業の方の場合には、大学を卒業した方に比べて審査は厳しくなる傾向があります。具体的には、専門学校で学んだ内容と、これから行う職務内容の関連性は大学卒業の方よりもかなり強く求められます。

現在では国から認定を受けた一部の専門学校の卒業者については在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更時における専攻科目と従事しようとする業務との関連性を柔軟に判断するとされています。しかし、あくまでも一部の認定を受けた専門学校の卒業者の方のみが対象であることにご注意ください。

【事例1】
日中通訳翻訳学科を卒業した者から、輸出入業を営む企業との雇用契約に基づき、月額17万円の報酬を受けて、海外企業との契約書類の翻訳業務及び商談時の通訳に従事するとして申請があったが、申請人と同時に採用され、同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額20万円であることが判明したため、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けているとはいえないことから不許可となったもの。

通訳翻訳学科を卒業し通訳翻訳の業務に従事するのですから、学校で学んだ内容と職務内容に関連性があると言いうことができます。しかし、雇用契約のに記載された報酬額が17万円と、同時に採用され同じ職務内容に従事する方よりも低い金額になっています。「技術・人文知識・国際業務」を取得する際の条件の1つが”日本人と同程度の報酬を得る事”です。本事例の場合、この条件に反するため不許可になります。

昭和の時代には外国人の方を”安く使える労働力”とお考えの方がいらっしゃったのは残念ながら事実です。しかし、現在はそのように外国人の方の報酬を不当に日本人の方よりも低くすることは認められていません。したがって、採用する外国人の方の給与の額によっては入管から説明を求められ、その金額が他の同じ職務内容の社員よりも明確に低い場合には不許可になります。

【事例2】
情報システム工学科を卒業した者から、本邦の料理店経営を業務内容とする企業との契約に基づき、月額25万円の報酬を受けて、コンピューターによる会社の会計管理(売上、仕入、経費等)、労務管理、顧客管理(予約の受付)に関する業務に従事するとして申請があったが、会計管理及び労務管理については、従業員が12名という会社の規模から、それを主たる活動として行うのに十分な業務量があるとは認められないこと、顧客管理の具体的な内容は電話での予約の受付及び帳簿への書き込みであり、当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず、「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないことから不許可となったもの。

この事例は誤解されやすい事例ではないかと思います。本事例は専門学校で情報システム工学科を学んだ方が料理店経営を業務内容とする会社で会計管理及び労務管理を職務内容として申請した場合に不許可になっています。

本事例のポイントは専門学校で学んだのが”情報システム工学”という点です。一般的な感覚で言うと、本格的な”システム”が必要になるのはある一定規模の会社からだと考えられます。そのため、本事例のように12名という規模は専門学校で学んだシステムの構築が必要な規模であるとはいえないと判断されたのでしょう。この場合、外国人の方が実際に行う業務量が不十分として不許可になります。業務量が不十分な場合、「技術・人文知識・国際業務」の範囲外の業務を行う可能性があるためです。

したがって、もし仮にこの方が卒業したのが国際ビジネス関係の学科であったのであれば許可されていた可能性があります。もっとも、本事例の顧客管理の具体的な内容は電話での予約の受付及び帳簿への書き込みであり、それを主業務とした場合には国際ビジネス関係の学科でも厳しいかもしれません。

【事例3】
ベンチャービジネス学科を卒業した者から、本邦のバイクの修理・改造、バイク関連の輸出入を業務内容とする企業との契約に基づき、月額19万円の報酬を受けて、バイクの修理・改造に関する業務に従事するとして申請があったが、その具体的な内容は、フレームの修理やパンクしたタイヤの付け替え等であり、当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず、「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないため不許可となったもの。

ベンチャービジネスは高度な知識や新技術を用いて革新的、創造的な事業内容を展開する知識集約型の小企業をさします。したがって、本事例の”バイクの修理・改造、バイク関連の輸出入を業務内容とする企業”が、これまでにないアイディアや革新的な技術などをもとにして新しいビジネスモデルに取り組み、申請人の方がそのような業務にかかわることを職務内容とするなら「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得できる可能性があったかと思います。

しかしながら、フレームの修理やパンクしたタイヤの付け替え等は単純作業と判断されます。したがって、本事例は同じ職務内容であればたとえ大学卒業者の方であっても不許可になります。

【事例4】
国際情報ビジネス科を卒業した者から、本邦の中古電子製品の輸出・販売等を業務内容とする企業との契約に基づき、月額18万円の報酬を受けて、電子製品のチェックと修理に関する業務に従事するとして申請があったが、その具体的な内容は、パソコン等のデータ保存、バックアップの作成、ハードウェアの部品交換等であり、当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするもとのは認められず、「技術・人文知識・国際業務」に該当しないため不許可となったもの。

国際情報ビジネス科を卒業した方が電子製品のチェックと修理に関する業務に従事する場合に「の技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するのはかなり厳しいでしょう。そもそも”電子製品のチェックと修理”が単純作業と判断される可能性が高く、また、専門学校で学んだ”国際情報ビジネス”というった履修内容と職務内容との関連性が認めにくいからです。

本事例では、その具体的内容がパソコン等のデータ保存、バックアップの作成、ハードウェアの部品交換等であったことから単純作業に当たるとして不許可の判断をされています。国際情報ビジネス科の方であれば海外事業の経営戦略や現地の販路開発、諸国の提携パートナーとの商談などが職務内容であれば許可の可能性が高いと思われます。

【事例5】
専門学校における出席率が70%である者について、出席率の低さについて理由を求めたところ、病気による欠席であるとの説明がなされたが、学校の欠席期間に資格外活動に従事していたことが判明し、不許可となったもの。

専門学校卒業の方の場合、提出する履修内容証明書に記載されていることのある学校へ出席率をチェックされることがあります。一概には言えませんが、おおまかにいうと80%を下回った場合に”出席率低い”と判断されるケースが多くなるように思えます。

このように出席率が低いと判断された場合、入官から追加書類提出通知書が届き、その理由を書面で提出するよう求められます。この書面で審査官が納得する理由を示せなかった場合には許可を得ることはかなり厳しくなります。また、本事例のように欠席期間中に資格外活動を行っていたような場合にも、今までの在留状況に問題があると判断されるため許可は下りません。

【事例6】
ビルメンテナンス会社において、将来受け入れる予定の外国人従業員への対応として、通訳業務、技術指導業務に従事するとして申請があったが、将来の受入れ予定について何ら具体化しておらず、受入れ開始までの間については、研修を兼ねた清掃業務に従事するとして申請があり、当該業務が「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないため不許可となったもの。

”将来受け入れる予定の外国人従業員への対応として、通訳業務、技術指導業務に従事する”という職務内容であれば、申請の際にその計画を明確に示す必要があります。計画は実現可能であることが求められ、公的な機関の作成したデータなどでの裏付けも必要でしょう。これらをしなかった場合には本事例のように不許可になります。

なお、ビザ申請では一般的に本事例のような”外国人を受け入れたらその業務を行う”といった条件付きの職務内容での申請は許可されません。研修等の一部の例外を除き、就労後すぐに申請した職務内容の仕事を行う必要があります。

【事例7】
ホテルにおいて、予約管理、通訳業務を行うフロントスタッフとして採用され、入社当初は、研修の一環として、1年間は、レストランでの配膳業務、客室清掃業務にも従事するとして申請があったが、当該ホテルにおいて過去に同様の理由で採用された外国人が、当初の研修予定を大幅に超え、引き続き在留資格該当性のないレストランでの配膳業務、客室清掃等に従事していることが判明し不許可となったもの。

「技術・人文知識・国際業務」では基本的に単純労働は認められていません。しかし、現実問題として実際に仕事をするには現場での経験がないとイメ-ジがしにくいなど、効率的に仕事を行うことが難しい場合も少なくありません。

そのため、①実務研修期間が予定する雇用期間の大半を占めないこと、②日本人にも同じ実務研修が実施されていること、③今後の職務を行う上で研修による経験が必要であることなどの条件を満たしている場合であれば「技術・人文知識・国際業務」でも実務研修として一定の期間単純労働を行うことは認められています。

ただし、「技術・人文知識・国際業務」の申請の際にその旨を申し出る必要があります。本事例では”当初の研修予定を大幅に超え、引き続き在留資格該当性のないレストランでの配膳業務、客室清掃等に従事している”ため①の条件に反しています。したがって、認められる実務研修とは言えず、不許可の判断がされています。

【事例8】
人材派遣会社に雇用され、派遣先において、翻訳・通訳業務に従事するとして申請があったが、労働者派遣契約書の職務内容には、「店舗スタッフ」として記載されており、派遣先に業務内容を確認したところ、派遣先は小売店であり、接客販売に従事してもらうとの説明がなされ、当該業務が「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないため不許可となったもの。

人材派遣会社に雇用された場合、「技術・人文知識・国際業務」に該当する職務内容かどうかは派遣先で行う実際の業務をもとに実質的に判断されます。本事例では派遣先で実際に行うことになる業務内容は店舗スタッフとして小売店の接客販売することです。したがって、その業務内容は専門学校で学んだ知識を生かしたものとは言えず、「技術・人文知識・国際業務」に該当しないと判断され不許可とされています。

【事例9】
電気部品の加工を行う会社の工場において、部品の加工、組み立て、検査、梱包業務を行うとして申請があったが、当該工場には技能実習生が在籍しているところ、当該申請人と技能実習生が行う業務のほとんどが同一のものであり、申請人の行う業務が高度な知識を要する業務であるとは認められず、不許可となったもの。

電気部品の加工を行う会社であっても、経理や懈怠管理などの業務、もしくは専門的な理科系の知識を用いる職務内容であれば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の取得は可能です。しかし、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では本事例のような工場のラインに入って作業をすることまでは認められません。

本事例での職務内容が仮に直接ラインに入るのではなく、現場の管理等であったのであれば許可の可能性があったかもしれません。もっとも、その場合には管理業務を行う者を配置する必要があるだけの規模があることを求められます。少人数の規模の現場であった場合には許可が下りにくい傾向があります。

【事例10】
栄養専門学校において、食品化学、衛生教育、臨床栄養学、調理実習などを履修した者が、菓子工場において、当該知識を活用して、洋菓子の製造を行うとして申請があったところ、当該業務は、反復訓練によって従事可能な業務であるとして、不許可となったもの。

本事例の判断は少し難しいところがあります。一般的に”反復訓練によって従事可能な業務”は単純作業とみなされ、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得することはできないと言われています。しかし、現実にはほとんどの仕事が反復訓練によって従事可能な業務です。そのため、どこからが「技術・人文知識・国際業務」の範囲で、どこからが反復訓練によって従事可能な単純作業に当たる業務なのかの判断が難しい場合も少なくありません。

例えば、一言で電話の受付対応と言っても、単に受付内容を帳簿に書くだけなら単純作業になりますが、同じ受付業務でも外国籍の方に対して母国語などで対応することもしていれば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当すると判断される可能性があります。このように業務内容の判断は個別の状況によるところが大きくなります。

したがって、本事例でいう”洋菓子の製造”はおそらく専門的な知識のいらない、言い換えれば専門学校に行かれていない方でも比較的容易に行うことができるような単純作業と判断される業務内容であったと推測できます。このような場合には許可は下りません。

【事例11】
声優学科を卒業した者が、外国人客が多く訪れる本邦のホテルとの契約に基づき、ロビースタッフとして翻訳・通訳業務に従事するとして申請があったが、専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

外国人の方が日本の専門学校で声優学科を卒業した場合の就職はかなり厳しいのが実情です。通常、声優学科では発声・発音やアフレコ実習や舞台制作、公演事業について学びます。

そのため、芸能プロダクションや劇団であれば、仕事内容にもよりますが「技術・人文知識・国際業務」の取得の可能性はあると思います。本事例では声優学科を卒業して翻訳・通訳業務従事するため、学校で学んだ内容と就労先の職務内容とに関連性がないとして不許可になっています。

【事例12】
イラストレーション学科を卒業した者から、人材派遣及び有料職業紹介を業務内容とする企業との契約に基づき、外国人客が多く訪れる店舗において、翻訳・通訳を伴う衣類の販売業務に従事するとして申請があったが、その業務内容は母国語を生かした接客業務であり、色彩、デザイン、イラスト画法等の専攻内容と職務内容との間に関連性があるとは認められず、また翻訳・通訳に係る実務経験もないため不許可となったもの。

イラストレーション学科を卒業した方の場合には、広告業界、出版業界、ゲームやアニメの制作会社などが学校で学んだ内容を生かせる場かと思います。したがって、本事例の衣類に関する業務が色彩、デザイン、イラスト画法等を生かすものであったのなら許可の可能性があったかもしれません。

しかし、実質が母国語を生かした接客業務では学校で学んだ内容と就労先での職務内容との関連性を認めることは難しいでしょう。仮に専門学校で学んだ内容の中に翻訳や通訳に関する内容が多く含まれ、日本語能力試験に合格している場合であればまた違った結果になったかもしれません。

なお、本事例で実務経験について触れられているのは、専門学校で学んだ内容と就労先での職務内容に関連性は認められない場合でも翻訳・通訳に関して3年以上の実務経験があれば「人文知識」ではなく「国際業務」として「技術・人文知識・国際業務」を取得できる可能性があるためです。

【事例13】
ジュエリーデザイン科を卒業した者が、本邦のコンピュータ関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき、外国人客からの相談対応、通訳や翻訳に関する業務に従事するとして申請があったが、専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

専門学校でジュエリーデザイン科を卒業した方であれば、卒業以後の就職先として宝石関係のデザイナーや制作などの専門職のほか、アパレルメーカーのグッズ部門などが考えられます。

本事例では、コンピュータ関連サービスを業務内容とする企業で外国人客からの相談対応、通訳や翻訳に関する業務に従事するため、専門学校で学んだ内容と就労先での職務内容に関連性が認められないとして不許可の判断がされています。

事例12と同じように、本事例でも専門学校で学んだ内容の中に翻訳や通訳に関する内容が多く含まれ、日本語能力試験に合格している場合であればまた違った結果になった可能性はあります。

【事例14】
国際ビジネス学科において、英語科目を中心に、パソコン演習、簿記、通関業務、貿易実務、国際物流、経営基礎等を履修した者が、不動産業(アパート賃貸等)を営む企業において、営業部に配属され、販売営業業務に従事するとして申請があったが、専攻した中心科目は英語であり、不動産及び販売営業の知識に係る履修はごくわずかであり、専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

事例11~13と異なり、専門学校で英語科目を中心に、パソコン演習、簿記、通関業務、貿易実務、国際物流、経営基礎等を履修した方ですので、このような方であれば翻訳・通訳業務や国際貿易関係の職務内容であれば「技術・人文知識・国際業務」を取得できる可能性がありました。

しかし、本事例では就職先の職務内容は不動産売買の営業業務です。たとえ専門学校で不動産及び販売営業の知識を学んでいたとしても、その分量が少ないと入管が判断した場合には専門学校で学んだ内容と就労先での職務内容に関連性は認められません。なお、どの程度から”少ない”と判断されるかは個別の状況によって異なります。資格の有無によっても異なります。

【事例15】
国際ビジネス学科において、経営戦略、貿易実務、政治経済、国際関係論等を履修した者が、同国人アルバイトが多数勤務する運送会社において、同国人アルバイト指導のための翻訳・通訳業務及び労務管理を行うとして申請があったが、教育及び翻訳・通訳業務と専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

国際ビジネス学科において、経営戦略、貿易実務、政治経済、国際関係論等を履修した方であれば国際貿易関係の職務内容であれば「技術・人文知識・国際業務」を取得できる可能背がありました。

しかし、本事例では運送会社の外国人アルバイトの通訳・翻訳と労務管理です。このような場合も、日本語能力試験N1を取得しているなどの特別な事情がない限りは専門学校で学んだ内容と就労先での職務内容に関連性は認められないため、不許可の判断がされます。

【事例16】
国際コミュニケーション学科において、接遇、外国語学習、異文化コミュニケーション、観光サービス論等を履修した者が、飲食店を運営する企業において、店舗管理、商品開発、店舗開発、販促企画、フランチャイズ開発等を行うとして申請があったが、当該業務は経営理論、マーケティング等の知識を要するものであるとして、専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

繰り返しになりますが、「技術・人文知識・国際業務」で単純作業を行うことはできません。そのため、接客業務の多い飲食店での「技術・人文知識・国際業務」は審査が厳しくなります。申請人の方が勤務する時間帯に他のスタッフがどの程度の人数勤務しているかを確認される場合もあります。

一般的に飲食店で「技術・人文知識・国際業務」が取得できるのは、本事例のように店舗管理、商品開発、店舗開発、販促企画、フランチャイズ開発等のような職務内容の場合です。しかし、そのように「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務内容であったとしても、本事例のように専門学校で学んだ内容と就労先での職務内容に関連性は認められなかった場合は許可されません。

一方、本事例のような場合でも、仮に履修内容に経営理論やマーケティングに関する内容が多く含まれているケ-スであれば許可が出る可能性があります。ただし、履修内容に職務内容と関連する内容が多い・少ないの判断は大学卒業の方に比べて厳しくなっていますので、認められる場合は少ないと思います。

【事例17】
接遇学科において、ホテル概論、フロント宿泊、飲料衛生学、レストランサービス、接遇概論、日本文化等を履修した者が、エンジニアの労働者派遣会社において、外国人従業員の管理・監督、マニュアル指導・教育、労務管理を行うとして申請があったが、専攻した科目と当該業務内容との関連性が認められず不許可となったもの。

本事例のようにホテル概論、フロント宿泊、飲料衛生学、レストランサービス、接遇概論、日本文化等を学んだ方であれば一定規模以上のホテルでの通訳・翻訳や、外国人向けホ-ムページの制作・運営業務であれば「技術・人文知識・国際業務」を取得できる可能性があります。この場合には公的機関の出している統計資料などを使い、外国人の方が多くお客様としてくることなどを説明する必要です。

本事例の場合、エンジニアの労働者派遣会社で外国人従業員の管理・監督、マニュアル指導・教育、労務管理が職務内容です。当然、専門学校で学んだホテル関連の知識と就労先での職務内容に関連性があるとは認められず不許可の判断がされています。仮に本事例で就労先がホテルだった場合には、そのホテルの規模や客層にもよりますが許可が出た可能性もあるかと思います。

【事例18】
CAD・IT学科において、専門科目としてCAD、コンピュータ言語、情報処理概論等を履修し、一般科目において日本語を履修したが、日本語の取得単位が、卒業単位の約2割程度しかなく、当該一般科目における日本語の授業については、留学生を対象とした日本語の基礎能力の向上を図るものであるとして、不許可となったもの。

この事例での就労先の職務内容は翻訳・通訳でした。専門学校でCAD・ITが専攻であったとしても、履修内容に語学に関する内容が多く含まれている場合など、場合によっては「技術・人文知識・国際業務」を取得できる可能性があります。

この点、留学生を対象とした日本語の基礎能力の向上を図るレベルでの日本語の授業は翻訳・通訳を業務とするために専門学校で学んだ日本語の授業としてカウントされません。通訳・翻訳業務に活用する日本語の授業は一定以上のレベルの内容であることが求められるためです。したがって、本事例の場合、専門学校で日本語を学んだと判断されず、専門学校で学んだ内容と就労先での職務内容に関連性がないとして不許可になります。

【事例19】
国際ビジネス専門学科において、日本語、英語を中心とし、経営学、経済学を履修したが、当該学科における日本語は、日本語の会話、読解、聴解、漢字等、日本語の基礎能力を向上させるレベルに留まるものであり、通訳・翻訳業務に必要な高度な日本語について専攻したものとは言えず不許可となったもの。

本事例でも就労先の職務内容は翻訳・通訳でした。国際ビジネス専門学科を卒業したからと言って翻訳・通訳の職務内容で「技術・人文知識・国際業務」が取得できないというわけではありません。

しかし、事例18と同様に、翻訳・通訳業務に必要な日本語を専門学校で学んだといえるためには専門学校で学んだ日本語等の内容が一定以上に高度なものである必要があります。したがって、本事例のように日本語の基礎力を向上させるレベルの物では翻訳・通訳業務に必要な日本語を専門学校で学んだといえず、専門学校で学んだ内容と就労先での職務内容との関連性は認められません。

【事例20】
国際コミュニケーション学科において、日本語の文法、通訳技法等を履修した者が、新規開拓を計画中であるとする海外事業分野において、日本語が堪能である申請人を通訳人として必要とする旨の雇用理由書が提出されたが、申請人の成績証明書及び日本語能力を示す資料を求めたところ、日本語科目全般についての成績は、すべてC判定(ABCの3段階評価の最低)であり、その他日本語能力検定等、日本語能力を示す資料の提出もないことから、適切に翻訳・通訳を目的とした業務を行うものとは認められず不許可となったもの。

一般的に、国際コミュニケーション学科を卒業しているのであれば翻訳・通訳の職務内容だあれば「技術・人文知識・国際業務」を取得できることが多いかと思います。

しかし、専門学校卒業者の方の場合には学校で学んだ内容と就労先での職務内容との関連性の他に、実際に翻訳・通訳業務に従事することができるだけの能力を有しているかどうかもチェックされる点はご注意ください。これは、専門学校での日本語の授業の中には日本語の会話、読解、聴解、漢字等、日本語の基礎能力を向上させるレベルにとどまる内容が少なくないためです。

本事例では日本語の成績不振に着目し、その他に日本語能力検定等、日本語能力を示す資料の提出もないことから、実際に翻訳・通訳業務に従事することができるだけの能力がないとして不許可の判断をしています。仮に日本語能力試験のN1かN2を取得していた場合であれば違う結果になっていたかもしれません。

【事例21】
翻訳・通訳専門学校において、日英通訳実務を履修した者が、ビル清掃会社において、留学生アルバイトに対する通訳及びマニュアルの翻訳に従事するとして申請があったが、留学生アルバイトは通常一定以上の日本語能力を有しているものであり通訳の必要性が認められず、また、マニュアルの翻訳については常時発生する業務ではなく、翻訳についても業務量が認められず不許可となったもの。

翻訳・通訳専門学校において、日英通訳実務を履修した方が通訳及びマニュアルの翻訳に従事するのですから学校で学んだ内容と就労先での職務内容に関連性は認められます。

しかし、条文にはされていませんが、翻訳・通訳業務で「技術・人文知識・国際業務」を申請する場合、その翻訳・通訳業務の必要性があるか、また十分な業務量があるかも審査の対象になります。翻訳・通訳業務の必要性や十分な業務量がない場合には、申請した内容以外の法で認められていない単純作業のような業務をさせる可能性があるからです。

したがって、本事例のように翻訳・通訳業務の必要性や十分な業務量がないと判断された場合にも不許可になります。

【事例22】
翻訳・通訳専門学校において、日英通訳実務を履修した者が、翻訳・通訳業務に従事するとして申請があったが、稼働先が飲食店の店舗であり、通訳と称する業務内容は、英語で注文を取るといった内容であり、接客の一部として簡易な通訳をするにとどまり、また、翻訳と称する業務が、メニューの翻訳のみであるとして業務量が認められず不許可となったもの

本事例も事例21と同様です。専門学校で学んだ内容と就労先の職務内容に関連性は認められますが、通訳の必要性やその業務量に十分な量がないと判断され不許可になっています。勤務先が飲食店であるというのも理由の一つでしょう。一般的に、過去に多くの違反があったために「技術・人文知識・国際業務」は飲食店の場合取得しにくい傾向があります。

【事例23】
日本語・日本文化学科を卒業した者が、人材派遣及び物流を業務内容とする企業との契約に基づき、商品仕分けを行う留学生のアルバイトが作業する場所を巡回しながら通訳業務に従事するとして申請があったが、その具体的な内容は、自らも商品仕分けのシフトに入り、アルバイトに対して指示や注意喚起を通訳するというものであり、商品仕分けを行うアルバイトに対する通訳の業務量が認められず不許可となったもの。

本事例で商品仕分けを行う留学生のアルバイトの数が非常に多く、作業する場所を巡回しながらする通訳業務に十分な仕事量があると判断されていれば許可された可能性もありました。しかし、実際には通訳と言っても、アルバイトに対して指示や注意喚起くらいで、通訳の必要性があるとも、十分な通訳に関する仕事量があるとも言えませんでした。また、自らも商品仕分けのシフトに入り、単純作業も行っていることも不許可とされた原因でしょう。


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