就労ビザの申請で提出する資料は”カテゴリー”によって異なります

「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」ビザなどに代表される就労ビザでは外国人の方を雇用する会社の規模により1~4の”カテゴリー”という分類がなされています。

カテゴリー1に属するのは上場企業などの規模の大きな会社で、カテゴリー4にあたるのが設立1年以内の新設会社などです。数字が小さいほど規模の大きな会社になります。

わざわざ外国人の方を海外から呼んでおきながら、すぐに会社の経営が立ちいかなくなり外国人の方に給与が払えないなどという事があれば国際問題に発展しかねません。そのような事情から、就労ビザでは雇用する外国人の方が安心して働けるように雇用する会社側に「事業の継続性と安定性」が求められています。

この点、基本的には規模の大きな会社であればこの継続性や安定性は十分にあると信用することができます。そのため、就労ビザではこのカテゴリーによって提出する書類が異なり、規模の大きな会社ほど提出する書類は少なくなります。

以下、どのようにしてカテゴリーの分類をしているか、どのような会社がどのカテゴリーに当てはまるのか、具体的にどういったことが異なるのかなどについて見ていきます。

カテゴリーの分類の仕方

カテゴリーの分類の基礎となる会社の規模を判断する際、一般的に会社の大きさを表すときに思い浮かべるような売り上げ金額や従業員数などは用いません。就労ビザのカテゴリーの分類は、株式を上場しているか、または公の機関に属するのかといった指標の他に「源泉徴収票等の法定調書合計表」を用いて判断されます。

所得税法や相続税法、租税特別措置法などに規定されている税務署に提出しなければならない書類を総じて法定調書と言います。「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」はこの法定調書の提出時に併せて作成する書類で、給与所得の源泉徴収額の合計などが記載されています。

「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」は従業員を雇用している企業や、フリーランスの方に業務を発注しているため支払調書の発行が必要な取引をしている会社であれば必ず作成し、毎年1月31日までに前年の支払確定分をとりまとめて税務署に提出をしなければならない書類です。税務処理を税理士の方にお願いしている場合など、どの書類の事か不明な場合には税理士の方にお問い合わせください。

1~4のカテゴリーに当てはまる会社の基準 参考:出入国在留管理局Webサイト

次はどのような会社がどのカテゴリーに当てはまるのかをカテゴリーごとに見ていきます。

カテゴリー1

”カテゴリー1”に該当するのは会社が自社の株式を日本の証券取引所に上場している会社や国、または地方公共団体などの公の機関です。具体的には次のような会社や団体になります。

【カテゴリー1】

  • 日本の証券取引所に自社の株式を上場している企業
  • 保険業法に基づき設立された保険業を営む相互会社
  • 日本又は外国の国・地方公共団体
  • 独立行政法人、特殊法人、認可法人
  • 日本の国・地方公共団体認可の公益法人
  • 株式会社日本政策金融公庫などの法人税法別表第1に掲げる公共法人
  • イノベーションを促進するための支援措置を受けている機関

また、次の場合にもカテゴリー1に該当すると認定されます。

【一定の条件を満たす企業としてカテゴリー1に該当すると認められる条件】

<認定機関から以下の認定を受けている企業または団体>

  • 「ユースエール認定企業」
  • 「くるみん認定企業」または「プラチナくるみん認定企業」
  • 「えるぼし認定企業」または「プラチナえるぼし認定企業」
  • 「安全衛生優良企業」
  • 「職業紹介優良事業者」
  • 「製造請負優良適正事業者」
  • 「優良派遣事業者」
  • 「健康経営優良法人」

<その他以下の企業または団体>

  • 「地域未来牽引企業」の選定を受けている
  • 「空港管理規則上の第一類構内営業者又は第二類構内営業者」の承認を受けている
  • 「内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)登録事業者」として登録を受けている

これらの認定等を受けていることでカテゴリー1に該当する場合には申請の際に認定を受けていることを証明する認定証等の写しを提出する必要があります。

カテゴリー2

”カテゴリー2”に該当するのは、前年分の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」中、源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人の方です。通常、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上であるとしてカテゴリー2に該当するのは従業員数が数百人単位で在籍している規模の企業になります。

また、カテゴリー1及び4の機関を除く在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関もカテゴリー2に当てはまります。ただし、この承認を受けるには登録支援機関の認定を受けねばならず、登録支援機関の認定を受けるには最低でも申請者取次者としての承認を受けている、または承認要件を満たしている常勤の従業員が必要になるため、やはりこの場合もある程度の規模のある会社でないと難しいと思われます。

カテゴリー3

”カテゴリー3”に該当するのは前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人の中で、前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、源泉徴収税額が1,000万円未満である企業です。簡単に言うと、新設企業ではなくカテゴリー2に当てはまらない企業の事です。そのため、日本の多くの会社がこのカテゴリー3に該当するかと思われます。

カテゴリー4

”カテゴリー4”には1~3に該当しない会社が当てはまります。カテゴリー3にも該当しないという事は、前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出していない会社が当てはまります。具体的には前年度内に新設した会社がカテゴリー4に当てはまります。


カテゴリーによる具体的な違い 参考:出入国在留管理局Webサイト

カテゴリーによる具体的な違いとしては”提出書類の違い”と”審査期間の違い”があります。以下それぞれ見ていきます。

(ⅰ)提出書類の違い

カテゴリーごとの違いで、最も明確なものが申請の際に提出を求められる書類です。まず、1~4のどのカテゴリーでも提出する書類は次のようなものになります。

【1~4のどのカテゴリーでも提出する書類(以下共通資料)】

  • 在留資格認定証明書交付申請書 ※写真(縦4cm×横3cm)を貼付
  • 源泉徴収票等の法定調書合計表などの所属機関がどのカテゴリーに該当するかを証明する文書
  • 専門学校を卒業した方の場合には学位を取得したことを証明する文書
  • 派遣契約に基づいて就労する場合は、派遣先の労働条件通知書や雇用契約書の写し

カテゴリー3やカテゴリー4の場合にはこのような共通資料の他に以下のような資料の提出も求められます。

【カテゴリー3の場合、共通資料に追加して提出する資料(例)】

  • 労働条件通知書や雇用契約書の写し
  • 卒業証明書・履修事項証明書
  • 登記事項証明書
  • 会社パンフレット
  • 直近年度の決算文書の写し

【カテゴリー4の場合、カテゴリー3で提出する資料の他に提出する資料(例)】

  • 給与支払事務所等の開設届書など

(ⅱ)審査期間の違い

(ⅰ)提出書類の違いで記載したように、カテゴリーの数字が大きくなるほど申請の際に提出する書類の量は多くなります。当然ながら提出された資料が多くなればなるほど審査には時間がかかります。

したがって、カテゴリー3,4の企業からの申請の方がカテゴリー1,2の企業のからの申請より審査にかかる時間が長くなる傾向があります。


以上が就労ビザのカテゴリ-についての解説になります。就労ビザにはわかりにくい箇所や誤解しやすい箇所があります。ご不明な点がございましたら、ぜひ一度専門家にご相談ください。


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