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「高度専門職ビザ」は、2015年4月より導入された制度です。このビザは、外国人で高い技術や深い知識をもっている、いわゆる高度外国人材の方を日本に呼び込むことで日本人の良い刺激になってもらうために設けられました。
高度外国人材はその活動内容を「高度学術研究活動」と「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つに分類しています。
このそれぞれの活動内容それぞれの特性に応じて学歴や職歴、年収などの項目ごとにポイントを設け、ポイントの合計が70点以上であれば高度外国人材と判断されます。
高度外国人材と判断されるといくつかの入管法上の優遇措置を受けることができ、そのうちの一つとして高度専門職のビザを取得することができるようになります。高度専門職のビザには高度人材のそれぞれの活動に対応して「高度専門職1号(イ)」、「高度専門職1号(ロ)」、「高度専門職1号(ハ)」の3つがあります。
【ポイント計算の例】
・大学院で修士号取得している 20点
・職歴(実務経験)が7年 15点
・年収 1200万 10点
・年齢 32歳 10点
・日本語能力試験N1取得 15点
例えば、上記の場合であれば0+15+10+10+15=70点でビザ取得の条件をクリアすることができます。
「高度学術研究活動」には研究者や科学者、大学教授の方が当てはまり、「高度専門職1号(イ)」に分類されます。在留資格「研究」や「教授」に近い在留資格です。
「高度専門・技術活動」はITエンジニア、機械や土木建築の設計者などの技術者、マーケティングや経営コンサルティング業務に携わる方が当てはまり、「高度専門職1号(ロ)」に分類されます。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」に類似していますが、「技術・人文知識・国際業務」と異なり「高度専門職1号(ロ)」に国際業務は含まれません。国際業務は”外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務”とされていますが、このような思考や感受性のような主観的なものを客観的なポイントで測ることが困難であるためです。
「高度経営・管理活動」にはある程度規模の大きな会社の経営者の方や取締役の方が当てはまり、「高度専門職1号(ハ)」に分類されます。在留資格「経営・管理」に似通っています。
どの活動も日本の経済活性化が目的のため、日本の公私の機関と契約をして実際に活動を行うことが前提になります。また、同じ機関の同じ仕事内容で継続して勤めている間だけ有効です。
この他、「高度専門・技術活動」と「高度経営・管理」分野の場合には最低年収基準として、年収300万円以上であることが必要になります。この年収については、日本の所属機関以外の機関からの報酬であっても、外国人の方が海外の事業所から派遣されるという形をとるような場合であれば当該外国人の方が当該海外の事業所から受ける報酬をこの年収に算入します。
なお、「高度学術研究活動」については最低年収基準が平成25年に撤廃されました。
高度専門職ビザでは、外国人で高い技術や深い知識をもっている、いわゆる高度人材の方の受け入れを促進するため、さまざまな出入国管理上の優遇措置が与えられます。「高度専門職1号」の場合、主な優遇措置には以下のようなものがあります。
【高度専門職1号の優遇措置】
・複合的な在留活動の許容
・在留期間「5年」の付与
・在留歴に係る永住許可要件の緩和
・配偶者の就労
・一定の条件の下での親の帯同の許容
・一定の条件の下での家事使用人の帯同の許容
・入国・在留手続の優先処理
各優遇措置の詳細については下記関連記事”在留資格「高度専門職」(2)高度専門職ビザの優遇措置”のリンク先をご覧ください。
高度専門職ビザには、前述の高度専門職1号の他に「高度専門職2号」があり、高度専門職1号と同様に「高度専門職2号(イ)」「高度専門職2号(ロ)」「高度専門職2号(ハ)」に分類されます。高度専門職2号のビザ取得の申請には、前提として高度専門職1号のビザを持って3年以上日本に在留していることが必要です。したがって、「高度専門職2号」は高度専門職1号の先にある在留資格であると言えます。
高度専門職2号ビザの最大の特徴は在留期限がないということです。この点につき永住許可と類似しています。高度専門職2号ビザと永住許可の主な違いは以下の表のようになります。
高度専門職2号 | 永住者 | |
---|---|---|
就労制限の有無 | 在留資格に基づく就労活動のみ可 →単純労務や風営法にあたる就労活動はできない | 就労制限なし |
配偶者の就労について | 在留資格「教育」「技術・人文知識・国際業務」で 学歴・職歴などの要件が不要になる優遇措置あり | 就労制限なし |
勤務先を辞めた場合や転職した場合 | 退職や転職をした場合は入管へ届け出る義務があり、6ヵ月以上 継続して許可された活動を行わないと在留資格取消し対象になる | 特に問題なし |
親の帯同 | 子の養育や妻の妊娠介助の場合等で 世帯年収が800万円以上、同居が条件 | 在留資格による優遇措置なし |
家事使用人の雇用 | 世帯年収が1,000万円以上 | 在留資格による優遇措置なし |
なお、高度専門職2号には在留期間の更新は不要ですが、永住許可の場合と同様に在留カードの更新は必要です。高度専門職2号と永住許可以外の場合には在留期間と在留カードの更新の期限が同一に設定されているため問題ありませんでしたが、高度専門職2号では在留期間がないため、7年ごとカードの更新の手続きをする必要性が生じます。
高度人材として認定される「高度専門職」ビザは通常の就労ビザの特別な場合と考えられます。
そのため、通常の就労ビザの場合と同様、新たに高度人材として入国を希望する場合には「高度専門職1号」の在留資格認定証明書交付申請を、高度専門職1号以外の在留資格で在留している方の場合には「高度専門職1号」への在留資格変更許可申請を行います。
申請先は原則として居住地や居住予定地を管轄する東京入管のような地方出入国在留管理官署、または立川市にあるような出張所になります。申請することができるのは申請人の方本人やその法定代理人、行政書士等の取次者などです。
手数料は在留資格認定証明書交付申請の場合にはかかりません。在留資格変更許可申請や在留資格更新許可申請の場合には法定手数料4,000円がかかります。
申請の際に提出する資料は手続きの種類によって異なります。例えば「高度専門職1号(ロ)」への在留資格変更許可申請の場合は次のようなものになります。
【「高度専門職1号(ロ)の申請をする場合の提出書類 ※受付される最低限の資料】
・申請書 ※指定の規格を満たした写真を貼付
・法定調書合計表
・ポイント計算表
・雇用契約書または労働条件通知書
・納税証明書および課税証明書
・学歴の卒業証明書及び学位取得の証明書
・登記事項証明書
・直近の年度の決算文書の写し
なお、申請の際にはパスポート及び在留カードの提示は必要になります。
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