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まずはどのような会社を設立するか、会社の基本事項となる会社概要を決めていきます。具体的には、会社名や会社の事業内容、所在地の他に出資者、資本金などです。
会社名を考えるときには、類似する会社名がないかどうか確認しましょう。法務省のWebサイト「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について 」などを利用して調べることができます。
【法務省ホームぺ-ジ”オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について”ヘのリンク】
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00076.html
また、資本金は1円でも法律上は起業できますが、実際には最低でも100万円以上1,000万円未満にしておくことをお勧めいたします。資本金が低すぎると対外的な信用が低く、会社間の取引に支障をきたす場合があります。また、銀行から融資を得ることも難しくなります。1,000万円未満にしておくのは1、2期目の消費税が免税されるなどの節税効果があるからです。
決定した基本事項に基づいて定款(ていかん)を作成します。定款とは会社のル-ルブックのようなものです。
定款には必ず記載しなければならない内容と、効力を発生させるためには定款に記載しなければならない内容とがあります。
定款は電子定款と紙媒体の定款がありますが、電子定款の場合には印紙代4万円の費用はかかりません。ただし、電子定款の作成には、電子署名のためのソフト・機器などが必要です。
定款の作成完了し、問題がないことが確認できましたら、本店所在地を管轄する公証役場に予約を取ります。公証役場では定款の”認証”を行います。
この認証により、定款の作成とその内容について、出資者同意のもとに作成されたことを証明し、後日の紛争と不正行為を防止することができます。なお、公証役場での認証費用の相場は3~5万円です。印紙の場合と異なり、電子定款と紙媒体どちらの場合でも費用がかかります。
また、会社名が決まったら会社の実印を作成しておき、登記申請の際に法務局に印鑑届書を提出しておくことをお勧めします。法改正によって、2021年2月15日から、設立登記をオンラインで行う場合は印鑑は任意となりました。しかし、会社設立後に実印を使う場面は意外と多いので、早い段階で作成しておいた方が良いでしょう。
定款認証を受けた後、出資金を金融機関に振込みます。この時点では法人口座は開設できないので、会社設立に際し、出資した方の個人口座を利用することになります。
2015年3月3日の改正で、代表取締役の住所が日本になくても会社設立ができるように法改正がありましたが、個人口座の開設は日本に住所がないとマネ-ロンダリング防止等の観点からすることができません。
そのため、結局は海外に住所がある方では単独では会社の設立はできず、日本に住所のある方に一時的に役員になってもらうなどの協力してもらう必要があります。
会社設立に必要な登記申請では、この出資金の振り込みを証明する書類が必要になります。そのため、通帳の表紙と表紙の裏、振り込みの記録が記載されたページのコピ-用意し、払込証明書を作成します。
会社設立の登記申請は設立する会社の所在地を管轄する法務局で行います。原則として資本金の払い込み後2週間以内に申請が必要です。
【設立登記に必要な書類(例)】
・設立登記申請書
・登録免許税分の収入印紙
・定款
・発起人の同意書
(発起人決定書、発起人会議事録)
・設立時代表取締役の就任承諾書
・監査役の就任承諾書(監査役を設置する場合のみ)
・発起人の印鑑証明書
・資本金の払い込みを証明する書面
・印鑑届書
住所が海外にある方の印鑑証明書は母国が発行したものになります。
韓国、台湾の方は母国で印鑑証明書を取得することができます。中国の方の場合には日本の印鑑証明書と同様の事項を記載した印鑑の公証証が必要になります。印鑑制度そのものがない国の場合には日本の領事が作成した署名証明を添付することが認められています。
登記申請後、記載内容や提出書類に不備がなければ1週間程度で登記が完了し、無事に会社設立となります。登記申請は会社を設立する方がご自身ですることも理論的には可能ですが、かなり専門的な知識が必要で、補正や訂正でかなりの時間がかかる場合が多いかと思います。
そのため、登記申請は司法書士の方にお願いすると良いでしょう。ご費用はかかりますが、圧倒的な時間の節約になります。
なお、会社の設立日は原則として法務局に登記申請書を提出した日となります。
賃貸契約の場合、経営ビザ取得のために事業所が法人名義で契約してある必要があります。この時点では事業所の契約は個人名義になっているはずなので、会社設立後すぐに法人名義に変更してもらいましょう。
また、銀行に法人口座の開設も可能になります。設立して1カ月では法人名義のクレジットカードは審査が通りにくいのが通常ですが、クレジットカードの種類によっては審査を通るものもあります。
他には次のような書類を役所に提出する必要があります。
【税金関係の手続き(例)】
<税務署に提出する書類>
・法人設立届出書
・青色申告の承認申請書
・給与支払事業所等の開設届出書(給与を支払う社員を雇用してから一カ月以内)
<都道府県税事務所に提出する書類>
・法人設立・設置届出書
※東京都以外の場合には市町村に提出が必要な場合もあります。
【社会保険・労働保険関係の手続き(例)】
<初めて従業員を雇用したときに各役所に提出する書類>
・適用事業報告
・労働保険関係成立届
・労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書
・雇用保険適用事業所設置届
・雇用保険被保険者資格取得届
・健康保険・厚生年金保険新規適用届
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
<従業員10名以上になったときに作成義務が生じるもの>
・就業規則
税金関係の手続きは難しくはありませんが、社会保険・労働保険関係の手続きは相当に複雑です。社会保険労務士の先生に相談した方が良いでしょう。
なお、創業時において、通常時の融資とは別の融資制度があります。日本政策金融公庫の制度融資は事業実績がなくても利用できる制度が多いため、創業から間もない時期でも利用しやすく、また金利も比較的低い傾向にあるというメリットもあります。
この届出が済みましたらようやく会社設立の手続きが完了になります。
会社の設立手続きの完了後、会社で行う予定の事業で日本の営業許可が必要な場合には経営管理ビザの取得申請の前にその許可申請が必要になります。
例えば中古自動車の販売であれば、古物商許可申請を行って古物商許可証を取得する必要があります。飲食店の場合には食品衛生責任者と防火管理者の講習を受けるなどして保健所から許可をもらうことが必要です。
これらの許可を取得してようやく経営管理ビザの申請ができます。ご注意いただきたいのが、会社設立が法的に認められ会社の行う事業の営業許可が出たとしても、必ず経営管理ビザの許可が出るわけではないという点です。経営管理ビザはその独自の条件を満たしていなければ取得できません。
多額の資金を投入して事業開始の準備をしても、経営管理ビザが取得できなかった場合には日本で事業活動することができなくなってしまいます。
特にご相談で多いのがご自宅を会社の所在地としてしまい、経営管理ビザが取得できないというケースです。経営管理ビザを取得するためには、会社の設立段階から注意すべきことは少なくありません。早い段階から専門家に相談することをお勧めいたします。
経営管理ビザを取得するための条件は下記のリンク先をご覧ください。
株式会社を設立する際には以下の国に支払う法定費用が掛かります。この費用は資本金の額や前述のように定款の作成方法によっても変化します。
項目 | 株式会社 |
---|---|
定款印紙代 | 40,000円 ※電子定款では0円 |
謄本手数料 (定款の謄本を作成してもらう際の手数料) | 約2,000円(250円/1ページ) |
定款認証 | 資本金100万円未満 30,000円 資本金100~300万円 40,000円 資本金300万円以上 50,000円 |
登録免許税 | 150,000円 または 資本金額 × 0.7% どちらか高い方の金額 |
設立手数料(司法書士依頼報酬) | 60,000~80,000円 |
合計 | 24.2万円~32.2万円 |
「外国人創業活動促進事業(スタートアップビザ)」とは外国人の方が日本で起業しやすくするために作られた制度です。
具体的には、会社設立の開業準備のための在留期間6ヶ月の特別な経営・管理ビザの事を言います。
この6ヶ月のスタートアップビザがもらえると、日本に住所登録ができるため、日本での個人口座の作成や事業所の確保、会社の設立登記といった起業準備がしやすくなります。
東京都の場合、事業計画などの申請書類を提出し、面談を行います。約1ヶ月の審査期間の後、承認されると「創業活動確認証明書」が交付されます。この証明書を添付し、所管する地域の入国管理局などに6か月の「在留資格認定証明書の交付申請」を行います。この申請は創業活動確認証明書の有効期限 3ヶ月以内にする必要があります。
「在留資格認定証明書」の交付を受けることができたら、本国の在外公館で在留資格認定証明書を提示し、ビザ(査証)の発給を受けた後来日し、在留資格「経営・管理」(6か月)の上陸許可を受け、起業準備の活動をすることができるようになります。
なお、少なくとも2ヶ月に1度、創業活動計画の進捗状況について東京都による面談があります。面談はオンライン、または対面で行われます。ここで起業準備の進捗状況の確認をされます。
手続きの詳細を確認したい方は、以下のリンクより東京都ホームぺ-ジ”外国人創業人材受入促進事業”のページをご覧ください。
【東京都ホームぺ-ジ”外国人創業人材受入促進事業”ヘのリンク】https://www.investtokyo.metro.tokyo.lg.jp/jp/oursupports/bdc-tokyo/fhr.html
在留資格変更後6か月を超えて引き続き日本で事業の経営を行う場合は、入国管理局で在留期間の更新手続きをします。更新が許可された場合の在留期間は通常1年間になります。
また、渋谷区のようにワンストップの相談窓口「スタートアップウェルカムサービス」を導入し、外国人起業家が日本で事業設立を実現するためのビザ取得や、各種行政手続きを民間企業と連携しサポートしていたりと、市区町村独自の取り組みを行っているエリアもあります。
適法に会社が設立した場合でも、外国人の方が代表者がである会社は法人名義の銀行口座を新規開設することが以前より難しくなりました。おそらくはマネーロンダリングやゴーストカンパニ-の危険性を考慮してとのことだと思われます。特に日本全国に支店・営業所がある三菱UFJ、三井住友、みずほ、りそなでの法人口座開設は非常に困難です。
このような場合、インターネット銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行、地方銀行を検討すると良いかもしれません。一旦このような銀行に口座を開設し、会社が実績を作ってから大手メガバンクに口座を開設する方法もあります。
また、以下のような場合には上記のような大手メガバンクでなくとも法人口座の開設を断られる可能性が高くなります。
【法人口座の開設を断られる可能性が高い場合】
・事務所がレンタルオフィスやバーチャルオフィス、またはシェアオフィス
・飲食業許可や古物証許可など、必要な許可を取得していない
・資本金の額が極端に低い
・ホームぺージや会社パンフレットがない
なお、法人口座の開設手続きにはおよそ2〜3週間程度の時間がかかります。
中国には、日本のような戸籍制度というものがありません。そこで、国籍・身分関係を証するための公文書として「公証書」という証明書を発行しています。各種公証書は、現地の公証役場で取得することができます。
このうち「印鑑公証書」とは、本人の印鑑や署名などを公証員の前で行い、その印鑑や署名(サイン)が本人のものであることの証明をしてもらう書面で、日本の“印鑑証明書”と類似した書類になります。
日本で株式会社を設立する際、法人の場合代表印の印鑑証明書が、個人事業主の場合は印鑑証明書が求められるため、中国在住の中国人の方が日本で会社設立をする場合には印鑑証明書の代わりにこの「印鑑公証書」を用いることができます。
なお、このように用いる「印鑑公証書」には現住所の記載がある公証書が必要です。
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