在留資格「定住者」はどんな在留資格?定住者ビザについて解説

「定住者」とは、法務大臣が特別な理由を考慮して一定の在留期間を指定して居住を認める者を言います。

”法務大臣が特別な考慮する特別な理由”ついては、特定の国からの難民や日系の方などの人権・人道上の配慮から認められているものなどがあります。「定住者」の大まかな分類としては「告示定住」「告示外定住」があります。

「告示定住」とは、その呼び名の通り法務大臣が「告示(こくじ)」をもって地位を指定した難民の方や日系人の方などの場合です。「告示」とは、国や地方公共団体などの公の機関が、必要な事項を一般の人に周知させるために発表することを言い、告示されている内容は比較的簡単に調べることができます。

これに対し、「告示外定住」はこの告示にはその類型が掲げられてはいません。「通達」という行政機関内部で行政の取扱いの統一性を保つため新制度やルールなどを通知したり指示や命令などを行うための文書にその類型が定められています。この「通達」では「告示外定住」の類型として「離婚定住」や「死別定住」、「日本人実子扶養定住」のように記載されています。この通達に記載されている内容から、一般の方にとっては「告示外定住」が認められるのは主に国内に滞在する外国人の方に身分上の変更があった場合という事ができます。「告示外定住」は「通達」に基づき個別の状況に応じてその都度許可の可否を判断されるため、許可のハードルは他の申請よりも非常に高いものになります。

また、法律によって外国人の上陸許可の際に「定住者」の在留資格を得られるのは”告示で定めているもの”と規定されています。そのため、「告示外定住」については在留資格認定証明書交付申請を行うことができません。このため、「告示外定住」は既に日本国内に住んでいる外国人の方が対象で、現在のビザからの変更のみが可能です。

「定住者」と「永住者」の違い

「定住者」と良く混同されがちな在留資格として永住許可による「永住者」があります。「定住者」と「永住者」はともにその外国人の方の身分に基づく在留資格のため、就労制限がない点は同様です。

このような身分系の在留資格をもっている場合には「技術・人文知識・国際業務」に代表される就労ビザのような職業制限は特になく、日本人と同様に大体の仕事に就くことができます。当然、単純作業をおこなう職業に就くことも可能です。また、留学生のように就業時間が週28時間に制限されているということもありません。

しかし、「永住者」の場合は在留期間の制限がないため在留資格の更新が不要であるのに対し、「定住者」には在留期間が定められて、更新が必要になる点が異なります。このため、「定住者」ビザの場合には、更新の際に身分や収入などの状況が変わっていると在留期間の更新ができなくなることもあります。

この点で「定住者」の在留資格よりも「永住者」の在留資格の方が長期的に見て安定した在留資格であると言えます。もっとも、そのようにメリットの大きい「永住者」ビザの取得は非常に厳しい条件を満たさなくてはなりません。

他には「永住者」の在留資格は永住者以外の他の種類の在留資格で入国したあと、日本に10年間居住し続けるなどの一定の条件を満たしてはじめて取得できるものであるのに対し、「定住者」の在留資格は、主にその方の出生などに対して付与されるため、はじめから「定住者」の在留資格で入国できる場合もあるという違いがあります。

「告示定住」の具体的なケース

「告示定住」として実際によくあるのは、日系人、特に日系ブラジル人の方や日系ペルー人の方が就労制限のない「定住者」の在留資格を希望する場合です。中南米で日本に滞在する方は、リーマンショック以降減少したものの、それでもブラジルの方が最も多く、次がペルーの方になります。関東では群馬、栃木、茨城など、工場地帯やその周辺地域にお住いの場合が多いようです。このような「告示定住」には具体的には以下のようなものがあります。

No.告示定住
(1)タイ国内で一時的に庇護されているミャンマ-国民
(2)日本人、元日本国籍者の(日系3世)
(3)日本人のや定住者の配偶者
(4)日本人、永住者、特別永住者や定住者の未成年かつ未婚の実子
※告示外定住は多くの類型があるため、いくつかの事例のみ後述

提出する書類には、提出しないとそもそも受付されない必須書類と、許可が下りる可能性を上げるために出した方が良い任意書類とがあります。
必須書類については入国管理局のホ-ムぺ-ジで確認できます。任意書類については個別のケースによって千差万別であるため入国管理局のホ-ムぺ-ジでは掲載されていません。

前述のように「定住者」の在留資格は就労制限がないので、どんな職種でも働くことができますが、その在留資格取得に一般的な就労ビザのような学歴や実務経験などが関係ありません。学歴や経験に代わって戸籍謄本や除籍謄本を入管に提出し、日本人を先祖に持つことを証明することではじめて取得ができます。このことから「定住者」の在留資格を取得するには一定の身分や地位が必要であるといえます。

他には、日本人と国際結婚した外国人配偶者の方の「連れ子」を本国から呼び寄せるために子どもに「定住者」の在留資格を希望する場合などがあります。

この場合、この連れ子が20歳未満で結婚をしていないことが条件です。20歳以上になっている場合は「定住者」の在留資格では日本に呼べません。また、20歳なっていなくとも、基本的に子供の年齢が高くなるほど「定住者」の在留資格で呼び寄せることは難しくなります。子供の年齢が高い場合、入国管理局に”親の扶養がなくても本国で自立して生活することが可能ではないか、なぜわざわざ日本に呼ぶ必要があるのか”と判断されやすいためです。一般的に高校卒業の年齢、すなわち18歳になった子どもは自分で生活できる能力があると判断されやすく、不許可になりやすい傾向があります。

「連れ子」の場合の審査のポイントとなるのは次のようなことです。

・子どもの来日後、扶養できる十分な資力があるか
・連れ子に対する今までの扶養実績
・来日後の子どもの住所が両親の住所と一致している

また、来日後の子どもの住所が両親の住所と異なる場合には”扶養している”と判断しにくいため不許可になりやすい傾向があります。特に結婚後、時間がたってから子どもを呼び寄せる場合などは、”本国では祖父母が面倒を見ていたが、高齢になったため今後続けて子どもの面倒を見るのが難しくなった”など、その理由を丁寧に説明しなければなりません。その間も自分たちが子どもを扶養を継続してしていたことを国際送金の履歴などで証明する必要もあります。仮に”日本で家計を助けるためにアルバイトをさせる目的で呼ぶ”というような判断をされると不許可になります。このため、提出する申請理由書の記載内容が重要になります。

なお、連れ子に「定住者」の在留資格を申請するにあたって、現在法的には親子関係にない日本人の父または母と養子縁組をする必要はありません。

「告示外定住」の具体的なケース

前述のように「告示外定住」が認められるのは主に国内に滞在する外国人の方に身分上の変更があった場合です。このような「告示外定住」として認められるケースとして代表的なものは 「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に滞在していた外国人の方が、日本人配偶者の方と離婚や死別した場合に、そのまま日本にいるため在留資格を「定住者」に変更する場合です。このような場合に「定住者」の在留資格が許可されるか否かは次のようなことを考慮して総合的に判断されます。

【告示外定住の条件(日本人配偶者の方と離婚や死別した場合)】
①.生活するための資産や安定収入があるか
②.日本人との間に子どもがいて親権もしくは監護権がある
③.子どもがいない場合には実態のある婚姻歴が3年以上ある
④.離婚原因が日本人配偶者の側にあるか
⑤.これまでの在留状況が良好といえるか

日本国籍の子供がいない場合は、同居していたなどの実態のある結婚期間が最低でも3年以上必要です。しかし、日本国籍の子供がいる場合には、結婚期間が1年程度でも、日本で日本国籍の子供と同居し養育するのであれば変更が認められることもあります。個別判断のため、具体的にこうであれば許可が出るという基準はありません。なお、子どもを本国の親に預けるのであれば、日本国籍の子供の養育を理由とした定住者へ変更は認められません。


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