在留資格の種類とその一覧

(1)在留資格の種類と分類

「在留資格」とは、外国人の方が日本で活動するの際に必要になる”資格”の事です。

ネット等で調べると、例えば”技術・人文知識・国際業務の在留資格”を”技術・人文知識・国際業務ビザ”のように表現しているものを数多く見つけることができます。しかし、”ビザ”と”在留資格”とは全くの別物です。

本来、ビザはその外国人の方が日本へ入国しても大丈夫だという在外公館からの推薦状のようなものを意味し、「在留資格」は外国人の方が日本に入国・滞在し所定の活動をすることを日本国政府が認める滞在許可のことです。しかし、世間ではビザと在留資格を同じような意味として用いることが多いのが現状です。当事務所のサイト内でもわかりやすさを重視し、在留資格を”ビザ”と表現している所も多数あります。

在留資格は大きく分けて「居住資格」「活動資格」に分けられます。

「居住資格」とは、身分または地位に基づく在留資格です。身分系資格という事もあります。身分系の在留資格は「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の4種類があります。これらの在留資格は、日本に長期間住んでいたり、日本人や永住者の方と結婚することによって条件を満たす在留資格です。居住資格・身分系資格は就労の活動内容に制限がないのが特徴です。

「活動資格」就労ビザを代表とする在留資格です。この分類は日本で許可される活動の種類による分類で、日本に在留中の活動内容や就労できるか否かはそれぞれの在留資格に認められた範囲内に制限されます。

活動資格は就労できるか否かにより、さらに「就労が認められる在留資格」、「原則として就労が認められないない在留資格」、「就労できるかどうか否かは指定される活動による在留資格」に枝分かれします。

このうち「就労が認められる在留資格」を就労資格、「原則として就労が認められないない在留資格」を非就労資格という事もあります。この2つの分類に属する在留資格は、それぞれ「上陸許可基準」の適用があるものとないもので分けることができます。

日本で就労を希望する外国人の方を無制限で入国させてしまうと、日本人の雇用事情等に悪影響を及ぼす可能性が懸念されます。そのため、一般的な就労系の在留資格には在留資格そのものの条件の他に、法務省令によりさらにクリアしなくてはならない追加条件がそれぞれの在留資格ごとに定められています。

これが「上陸許可基準」と言われるものです。通常は在留資格そのものの条件と分けるメリットはないため、何が在留資格の条件で何が上陸許可基準なのかを意識する必要はありません。

「就労が認められる在留資格」で上陸許可基準の適用がない在留資格は「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「報道」です。一方で上陸許可基準の適用がある在留資格は「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能」「技能実習」「高度専門職」になります。

「原則として就労が認められないない在留資格」のうち上陸許可基準の適用がない在留資格は「文化活動」と「短期滞在」があります。これに対して上陸許可基準の適用がある在留資格は「留学」「研修」「家族滞在」です。これらの在留資格で就労をする場合には別に「資格外活動許可」を取得する必要があります。

「就労できるかどうか否かは指定される活動による在留資格」には「特定活動」があります。特定活動は、ここまでのどの在留資格にも当てはまらない活動に対して設けられた在留資格です。”その他”の在留資格と言って良いかもしれません。他の在留資格のように一定の職業等が決まっていないため、それぞれの個人の事情に対して在留許可が認められる仕組みになっています。

このように「居住資格」と「活動資格」は2024年現在、あわせて29種類のものがあります。以下、それぞれについて簡単に見ていきます。

(2)在留資格の一覧 ( 参考:出入国在留管理局サイト )

居住資格(身分系資格)...活動制限なし

<居住資格(身分系資格)>
在留資格該当例
永住者法務大臣から永住の許可を受けた者
日本人の配偶者等日本人の配偶者、子、特別養子
永住者の配偶者等永住者・特別永住者の配偶者、日本で生まれ引き続き在留している子
定住者日系2世の配偶者、日系3世、6才未満の養子など

「永住者」の方には永住権が認められます。永住権は、外国人の方が外国の国籍を保持したまま在留期間を制限されることなく滞在国に永住できる権利のことです。かなりの優遇措置がされるため、許可取得のための条件は厳しいものになっています。

「日本人の配偶者等」は日本人の方と結婚した方や、日本人の実子として生まれたが外国籍を取得して日本国籍を失った方などが対象の在留資格です。前者は結婚した際に取得する必要があるため、”結婚ビザ”や”配偶者ビザ”と呼ばれています。日本人ではなく永住者の方と結婚した場合には「永住者の配偶者等」のビザが該当します。

「定住者」には政治的な理由から認められているものや人道上の配慮から認められているものなどがあります。”人道上の配慮から認められているもの”の例としては、日本人の方と離婚した場合に子供の養育のため日本での在留を継続するために取得する場合などです。

活動資格...活動制限あり

【上陸許可基準の適用がない就労資格】

<上陸許可基準の適用がない就労資格>
在留資格該当例
外交外国政府の大使や代表団構成員、およびその家族など
公用外国政府の大使館・領事館の職員やその家族
教授大学教授など
芸術作曲家、画家、作家など
宗教外国の宗教団体から派遣される宣教師など
報道外国の報道機関の記者、カメラマン

「外交」は日本と国交のある外国政府の使節団や領事館で働く方、そのご家族が当てはまります。「公用」も同様に領事館で働く方等が対象ですが、こちらに該当するのは「外交」の在留資格で入国する方のサーポートとして入国する方になります。

「教授」は、おもに日本の大学や大学院で教育活動をしたり研究活動をおこなう人のための在留資格です。「芸術」は、在留資格取得を申請する時点で展覧会における受賞経験があるなど、相当程度の実績を有する方が日本でその活動を行う際に取得する在留資格になります。また、「宗教」は外国の宗教団体からの派遣され、日本で宗教上の活動を行う際に必要になる在留資格で、「報道」は外国の報道機関に雇用またはフリーで契約をしている外国人の方が、報道や取材のために日本に滞在するような場合の在留資格になります。

【上陸許可基準の適用がある就労資格】

<上陸許可基準の適用がある就労系在留資格>
在留資格該当例
高度専門職1号ポイント制で”高度人材”となるシステムエンジニアやプログラマー
高度専門職2号高度専門職1号などの在留資格をもって一定期間在留した方
経営・管理代表取締役や取締役のなど経営者、部長や支店長などの管理者
法律・会計業務弁護士,公認会計士など
医療医師,歯科医師,看護師
研究政府関係機関や私企業等の研究者
教育公立の中学校・高等学校等の語学教師等
技術・人文知識・国際業務機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師
企業内転勤外国の事業所からの転勤者
介護介護福祉士
興行俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手など
技能外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者など
特定技能1号介護や電気・電子情報関連産業、建設など法定された14業種
特定技能2号1号よりも高いレベルの技能水準などが求められる
技能実習1号技能実習生
技能実習2号入国後2・3年目の技能等に習熟するための活動
技能実習3号入国後4年目・5年目の技能等に熟達する活動

ここに分類される在留資格の代表的なものが「技術・人文知識・国際業務」です。この在留資格はいわゆるホワイトカラーの方のための在留資格になります。「企業内転勤」は外国の企業で働いている方が転勤で来日し、日本で「技術・人文知識・国際業務」にあたる活動をする際の在留資格です。「経営・管理」は日本で外国人の方が会社を設立する場合や、一定以上の規模の会社で取締役として就任する場合などに取得します。「研究」は報酬を得て日本の民間企業や公的機関等で研究活動をするための在留資格です。「高度専門職」は、この「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」「研究」に該当する活動をしている方のうち、特に高度な専門知識や技術を持つ方(高度人材)の在留資格になります。

「技能実習」は日本の国際協力の観点から設置された在留資格で、外国人の方が日本で働きながら技能・技術を習得し、その技術を母国の経済発展に役立てることを目的としています。しかし、この制度は制度目的と実態とがかけ離れてしまい、様々な問題が起こったため、将来的にはこの技能実習制度を廃止して、新たに「育成就労制度」が作られることが決定しています。

「特定技能」は、国内で人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。介護や建設といった特定産業分野についてのみが対象に限定されている点や、外国人支援が義務付けられていることなどが特徴です。

「技能」は個人の熟練した能力や腕前が必要な仕事に就く方の在留資格で、代表的な職業は「調理師」です。「興行」は演劇や演奏などの芸能活動、スポーツなどの興行の活動を行うための在留資格になります。特にこの興業の在留資格は一時不法就労や不法残留の温床となったこともあり、現在審査基準は非常に厳しくなっています。「教育」は日本で教員としての免許をもって小学校、中学校、高等学校において教員として教育に従事する場合の在留資格です。

「法律・会計業務」は、法律や会計業務に従事する外国人の方のために設けられた在留資格です。「医療」は日本で治療を受けること等を目的として来日する外国人患者が対象になります。「介護」は介護福祉士の資格をお持ちの方が日本の民間または公的な機関と雇用契約を結び、介護やその指導を行うための在留資格です。

【上陸許可基準の適用がなく、原則として就労が認められないない在留資格

<上陸許可基準の適用がなく、原則として就労が認められないない在留資格>
在留資格該当例
文化活動日本文化の研究者など
短期滞在観光客、親族訪問、会議参加者など

「文化活動」と「短期滞在」の2つは非就労系の資格で、この資格で滞在している方は原則として日本で就労することはできません。現在取得している在留資格の他に資格外活動許可を得れば週28時間以内であれば就労することが可能になります。ただし、「短期滞在」で資格外活動の許可が下りるのはかなり限定的な場合です。

「文化活動」の在留資格は純粋な日本文化の研究と、日本の伝統芸能を先達から学び習得するためのものです。そのため、収入を伴う場合にはこの在留資格には該当しません。「短期滞在」の在留資格は観光や親族の訪問の目的で短期の間日本に滞在するための在留資格です。「観光ビザ」と呼ぶこともあります。

【上陸許可基準の適用があり、原則として就労が認められないない在留資格】

<上陸許可基準の適用があり、原則として就労が認められないない在留資格>
在留資格該当例
留学大学や専門学校などの学生
研修研修生
家族滞在在留外国人が扶養する配偶者、子

「留学」「研修」「家族滞在」の在留資格の場合、原則として日本で就労し報酬を得ることはできません。しかし、資格外活動許可を得ることで週28時間以内であれば就労することが可能になります。

「留学」は日本の大学や専門学校、日本語学校に通うための在留資格です。卒業すると在留資格該当性がなくなるため、他の在留資格に変更しないと継続して日本に滞在することはできなくなります。「研修」は、外国人の方を日本に招き日本で技術や知識を身に着けてもらい母国で役立てることを前提とした在留資格になります。技能実習の在留資格と類似していますが、技能実習と異なり労働契約は必要ありません。「家族滞在」は就労系の在留資格で日本で就労している方の配偶者や子どもが取得することができます。

【「就労できるかどうか否かは指定される活動による在留資格」】

<「就労できるかどうか否かは指定される活動による在留資格」>
在留資格該当例
特定活動外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデーなど

前述のように「特定活動」の在留資格は、他の在留資格に該当しない活動の受け皿として設置されたものです。「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」として現在40種類以上の活動があります。

以上が在留資格全般のおおまかな解説になります。在留資格は数多くあり、ご自身がどの在留資格を取得できるのかがわからないという方もいらっしゃるかと思います。ご不明な点がございましたら、ぜひ一度専門家にご相談ください。


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